渇水から一転して大雨 そして津波警報 2024年の沖縄を襲った災害 命を守る術考える
例年にはない災害が相次いだ2024年。ことし起きた「災害」を振り返り、いま必要とされる備えを改めて考えます。 【写真を見る】渇水から一転して大雨 そして津波警報 2024年の沖縄を襲った災害 命を守る術考える ▽国頭村 比地区民 「ソファに寝ていたんですよ。(寝ていたら)音がしたので、目が覚めたらソファの高さまで水がきていて電化製品はみんな全滅、台所も冷蔵庫もみんなひっくり返っている状態ですね」 先月、本島北部を襲った記録的な大雨。浸水による被害は国頭村、東村、大宜味村で合わせて100件を超え、現在も復旧作業が続いています。 2024年は、こうした例年にない災害が相次いだ1年でした。 年が明けてすぐの1月。沖縄は、大雨とは対照的な「水の災害」にみまわれました。 ▽松田直人カメラマン 「福地ダム上空です。ダムの水位が下がり地肌が見えています」 去年から続いた少雨傾向により、県内のダムの貯水率が大幅に低下。玉城知事は、このままでは30年振りに「給水制限」を検討せざるを得ないとして、県民に節水を呼びかけました。 ▽玉城知事 「家族、職場、学校など、水を必要とする生活がこのまま維持できるように、皆さんに節水へのご協力を改めて呼び掛けたいと思います」 県は海水から真水を作る海水淡水化センターの運用コストを、月に約2億円増額してフル稼働させるなど、様々な渇水対策を講じました。 節水への取り組みは民間企業でも。豊見城市のホームセンターでは日々低下するダムの貯水率が店内に掲示され、節水グッズを販売するコーナーが設けられました。 ▽メイクマン豊見城店 金城 佑治 主任 「お客様に節水の対策を促すため、売り場を早急に作っています。水缶のまとめ買いがあり、お客様自身で(節水の意識を)感じられている方はいらっしゃるのかなと思います」 しかし、まとまった雨が降らず、3月にはダムの貯水率が過去10年で最低となる42.4%を記録。その後4月、5月と雨が続いて貯水率は平年並みにまで回復しました。 ■13年ぶりの津波警報 命を守るための備えと見えた課題 ▽防災無線の呼びかけ 「すぐに高台へ避難してください」 ことし4月、沖縄地方に発表された津波警報。東日本大震災以来、県内では13年振りとなる津波警報の発表に緊張が走りました。 ▽避難した石垣市民 「今まで感じたことのない恐怖感」 ▽避難した名護市民 「孫と一緒に車でここまで来ました。まだチムドンドンしています」 課題として浮き彫りになったのは「車を使った避難」です。県内各地で高台へと避難する車が列をなし、渋滞が発生しました。 気象庁では徒歩で避難ができる人については、原則、車を使わないように呼び掛けています。 ▽沖縄気象台 高嶺 透 地震津波防災官 「車を必要とする方が渋滞に巻き込まれて、避難ができないということも避けないといけません。原則、徒歩での避難を呼び掛けています。もちろん、車がどうしても必要な方もいるかと思いますし、その辺は事前に周辺で調整などをしていただけたらいいかなと思っています」 沖縄気象台の高嶺さんは、車が無ければ避難ができない人たちのために、「誰が車で避難するか」を事前に地域で話し合う必要があると指摘します。更に、避難経路や避難場所についても注意すべき点が…。 ▽沖縄気象台 高嶺 透 地震津波防災官 「避難する経路や避難場所を、1か所ではなく複数用意していた方がいいと思います。避難経路を1か所だけに絞っておくと、例えばそこが通れなくなったり、ビルが倒れたり、橋が壊れたりといったことも想定されるので、迂回するような形で避難経路はいくつか用意しておいた方がいいです」 例年にはない災害が相次いだ2024年。様々な事態に対して、「今できる備え」を改めて考える1年となりました。
琉球放送