「停止線の少し手前で止まるクルマ」一体なんのため? 停止線から“わざと”離れて止まる行為に賛否あり!? 実は「運転が上手い人」とされる理由とは
停止線より手前で止まる方がいい理由とは?
信号のある交差点や一時停止標識のある場所などに、クルマが停止するときのラインとなる「停止線」が設置されています。 停止線は「交通規制基準」に沿って「法令により停止する場所」として定められ、赤信号や一時停止をするときは、この停止線付近で停まるのが一般的です。 【画像】「えぇぇ!」これが「停止線より手前で止まる理由」です!(30枚以上)
停止位置の設置場所についてもルールが定められており、横断歩道では「1mから5m手前」とされているのですが、曖昧な表現が用いられるのは、各交差点において“もっとも安全”と判断された位置に停止線が設置されるためです。 道路では、乗用車やバス、大型トラックのほか、自転車やバイクなどの二輪車両も走行し、それに加えて歩行者なども混在しており、全員の安全を考慮した上で停止線が設けられています。 また、道路の形状や、近隣施設なども考慮されることから、停止線の設置位置が見直されることも少なくありません。 そんな停止線は、ネット上でたびたび話題にのぼっており、見通しの悪い交差点や道幅が狭い交差点で停止する時に「停止線よりも手前で停止するべき理由」という議論がかわされています。 SNSに投稿された「なんで停止線の手前で止まるクルマがいるのか」「中途半端に距離を空けている人は何の意味があるの?」といった疑問に対し、「前方から来るクルマに配慮している行為」、「状況に応じて距離を空けているのは慣れている人」、「周りが見えている人は運転がうまいと思う」という書き込みも存在するなど、さまざまな意見が見受けられます。 基本的には設置場所の状況を考慮した位置に停止線が設置されているですが、「少し手前で停止するべき理由」には、どういったことが考えられるのでしょうか。 首都圏の自動車教習所の担当者は過去の取材で次のように話しています。 「停止線の少し手前で停止するべき理由として、状況にもよりますが、道幅が狭かったりすると、対向車線の大型車両が曲がりきれなかったりすることなどが考えられます。 もしも後ろから追突された場合などでも前方に余裕を持って停止していれば、さらなる事故を防ぐことにもつながることが想定されます」 交差点でトラックなどの大型車両が曲がって進入する時、長いボディを有するために回転半径が大きくなります。 また、道幅が細いと、進入する時の角度が限定的になることから、停止線まで余裕を持って停止することで、対向車をスムーズに通行させられるのです。 では、停止線よりも手前で停止するという行為に問題はないのでしょうか。 自動車安全運転センターの担当者は、過去に次のように説明しています。 「前方の信号がはっきりと見え、後続車も前方車両が停止するであろうことが予想できる範囲内であれば、停止線よりも少し手前で停止したり、車間距離を多く取るといった行為は問題ありません。 一方で、雪道や坂道などの極めて特殊な状況を除いて、大幅に停止線よりも手前で停止すると、後方から追突される恐れがあるので注意が必要です」(自動車安全運転センター 担当者) ※※ ※ 例えば、クルマのほかにバスや大型トラックなどが頻繁に走行する道など、道路の形状によっては、停止線よりも手前で止まる方が安全ということもあるでしょう。 特殊な状況を除き、周りの安全を確保するために、ドライバー自身の判断で停止線よりも手前で止まることは問題ないというわけです。 道幅や対向車線を通行するクルマにも気を使うことで、お互いにストレスなくスムーズなドライブが可能になります。 とはいえ、必要のない停止線手前の停止はさまざまトラブルに発展する可能性もあるため、状況を見極めることが大切です。
くるまのニュース編集部