ラグビー日本代表にまた一歩近づいた! 早稲田大の107代目キャプテンがジャパンの先輩HOから学んだこと
【12月1日の早明戦は通算100回目】 2月からエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が就任した日本代表の候補合宿に参加し、4月にはジュニア・ジャパンとしてサモア遠征に参戦して優勝に貢献。さらに5月末の代表候補合宿を経て、6月から7月にかけて初めて日本代表に選出された。キャップを得ることはできなかったが、マオリ・オールブラックス戦で国際試合デビューも飾った。 日本代表合宿で佐藤は、元オールブラックスのオーウェン・フランクス・コーチにスクラムの基本姿勢を習い、同じポジションの坂手淳史(埼玉ワイルドナイツ)や原田衛(ブレイブルーパス東京)のプレーからも多くのことを吸収したという。 「坂手さんと(原田)衛さんとは宮崎合宿で同じ部屋だった時があり、スクラムを組む前の姿勢だったり、こういう相手にはこう組めばいいかなど、HOとしての細かいスキルを教えてもらった。一気に成長できたと思います!」(佐藤) 日本代表監督就任時に「若手を育てなければいけない」と宣言していたジョーンズHCは、さっそく行動に移して多くの大学生を招集した。そして声をかけた若手たちには、「大学に戻ってもスタンダードを落とすな」と激励してきた。 そのような刺激を受けた佐藤は、2027年のワールドカップ出場を目標としている。 「(大学でも)日本代表なりのプレーをしないといけない。そして(卒業後にリーグワンのチームに加入した)来年は日本代表にフルコミットしたい」 12月1日にはライバル明治大との「早明戦」を迎える。 100回目の節目となる今年は、FB五郎丸歩やSO山中亮平(神戸スティーラーズ)が在籍した2007年以来の全勝優勝がかかる。佐藤は早稲田大に入学してから、まだ一度も優勝できていない。 佐藤に心境を聞いてみると、「100回目の早明戦のキャプテンって、ちょっと格好いいな」と笑顔を見せた。そして顔を引き締めながら、意気込みを語った。 「明治大は1~23番までスーパースターが揃っている、スター軍団みたいなイメージです。身体の小さい僕らは、花園出場がなかったり、あまり出ていなかった選手たち。でも、そこから伸びてこその早稲田大だと思う。外的要因に惑わされずに自分たちにフォーカスしたい」
早慶戦後、佐藤はチームメイトにこう話した。 「僕らは『荒ぶる』(※優勝した時にのみ歌うことが許される第二部歌)を歌って、やっと満足できる」 今季のスローガンは『Beat Up』。「相手をぶっ倒す、ボコボコにする」という意味を込めているという。臙脂(えんじ)のスキッパー(舵取り役)を託された「サトケン」は常に先頭に立ち、向かってくる相手を全部ぶっ倒して頂点まで駆け上がる。
斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji