ユナイテッドアローズ、辺見えみりとブランド始動 “新大人マーケット”開拓目指す
辺見は現在47歳。「年齢を重ねる中で、自分が本当に欲しいと思える服が少なくなってきた」ことが原動力になった。コンセプトは“ヌーベルベージュ(新しいベージュ)”。「元々ベージュがすごく好きだったが、年齢を重ねるごとに肌の色が変わり映える色味が変わってきた。女性の美しさや艶っぽさを引き出してくれる新しいベージュを提案したいという思いをこめた」という。そんな辺見が理想とするベージュを表現したのが、カットジャカードのベスト(3万5200円)とパンツ(3万9600円)のセットアップだ。華やかさがありながらも、優しい色味のバランス。生地は辺見自身が桐生の工場に訪れ、いちから企画した。
「コンテ」のテイストを方向付けてくれたというコート(7万9200円)は、梳毛を平織りしたメンズライクな生地を用い、緩やかにカーブを描くシルエットが女性らしさを醸し出す。「トレンチコートはもう持っているし、ちょっと飽きてきている感覚もある」と振り返り、取りはずし可能な太めのベルトでデザイン性を加えた。ダブルフェースで仕上げることで実現した軽さも魅力だ。コートをはじめファーストコレクションで使用した生地は9割が国内産。「品質はもちろん、経年劣化も愛せるような基準で生地を選んだ。そうして世代を超えて長く着てもらうことが、私の提案したいサステナブルだ」と話す。
「いちタレントブランドでは終わらせたくない」
スカートは「大人になるとフェミニンすぎると恥ずかしい」と話し、上記のコートと共地で企画し、上品なフレアが広がるAラインに仕上げている。シルエットやディテールも、辺見の実体験に基づき40代以上の女性が抵抗なく着られる肌の露出を追求した点もポイント。例えばベストでは、「どうしても厚みが出てくる」という肩は生地にハリを持たせてゆるやかな逆三角形を描くことですっきりとしたシルエットに。素肌に重ねたアクセサリーが映える襟元もこだわりだ。「首回りは特に難しい部分。アイテム1点1点ベストなバランス感を追求した」という。トレンドのシアー素材を用いたシャツは、キャミソールとセットアップで提案する。
構想期間は約2年。辺見は週に2~3日程、終日UAオフィスに出社し企画チームと一緒になって「コンテ」を作り上げた。「いちタレントブランドでは終わらせたくない。ブランドを成長させるためには、愛情が不可欠で『コンテ』のチームは同世代のメンバーで、みんなが愛を持って関わってくれている。それを強みに長期的な視点で育てていきたい」と話す。神永課長は「UAとしてもある程度の規模感を持って育てていく方針だ」と加えた。8月2日からはユナイテッドアローズ麻布台ヒルズ ウィメンズストア、六本木ヒルズ店、ルミネ横浜店でポップアップイベントを実施する。9月には都内に2店舗出店を予定する。