変動金利VS フラット35! 「子育てプラス」で得をする金利上昇シナリオとは?
全期間固定金利で金利上昇リスクを回避
余裕資金の確保によらずに金利上昇リスクを避ける方法としては、全期間固定金利で借りるというものがあります。同じ物件をフラット35で子育てプラスの恩恵も加味して購入するシナリオで比較してみましょう。 図表2:【変動金利とフラット35の比較】 【前提条件】物件価格5,000万円、借入金額4,500万円(頭金を1割)。全期間固定金利1.83%、子育てプラスの金利引き下げ:1ポイントで5年間年0.25%(最大1%)。借入期間35年、元利均等返済、ボーナス払いなし。 ※フラット35は頭金を1割以上入れる必要があるため、5,000万円の物件であれば500万円の頭金を入れ、4,500万円を住宅ローンで借りるという前提としました。総返済額には頭金も含めて合計しています。 先程の図表1と比較すると、変動金利で1%の金利上昇があった場合の総返済額と、フラット35で子育てプラスのポイントを8~12得て借りた場合の総返済額がおおむね近似していることが分かりますね。また、当初の毎月返済額は変動金利よりもフラット35の方が抑えられています。これは1割の頭金を入れていることによるものです。 また金利引き下げのポイントが得られず、金利の引き下げなしでフラット35を借りた場合でも、変動金利が5年後に1.75%上がった場合よりは総支払額を少なく抑えられるということが分かります。 住宅金融支援機構のHPによると、子ども3人の家族で「【フラット35】地域連携型(子育て支援)」が利用できるエリアにZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)かつ長期優良住宅を取得する場合に9ポイント得られるとあります。他にもポイントを得られるケースがあるため、8ポイントを超える子育てプラスも現実的に可能と言えます。
変動金利と同額の総返済額で金利を固定する方法
返済期間を短く設定することで適用金利が下がるフラット20を利用する方法もあります。この場合、総返済額は変動金利のまま、金利を固定することができるのです。2024年4月の適用金利は1.43%ですから、これに子育てプラスの1%金利引き下げが加わると0.43%で固定できることになりますね。 図表3:【変動金利とフラット20の比較】 物件価格5,000万円、借入金額4,500万円(頭金を1割)。全期間固定金利 1.43%、子育てプラスの金利引き下げ:1ポイントで5年間年0.25%(最大1%)。借入期間20年、元利均等返済、ボーナス払いなし。 ※フラット20は頭金を1割以上入れる必要があるため、5,000万円の物件であれば500万円の頭金を入れ、4,500万円を住宅ローンで借りるという前提としました。総返済額には頭金も含めて合計しています。 ※各数値は2025年5月の金利で計算。 図表3と図表1を比較すると、変動金利で0.5%の金利上昇があった場合の総返済額よりも、フラット20で子育てプラスの金利引き下げが全くない場合の総返済額の方が若干少なくすむという結果になります。しかし、毎月の返済額はフラット20の方が大きいですね。これは1割の頭金を入れていても返済期間を20年と短くしているためです。 変動金利を同じ総支払額で金利上昇リスクを回避するには、返済期間を短く設定することでも十分に可能ということです。ただし、毎月の返済額が高くなってしまいますので、毎月返済額が無理なく続けられる水準におさまっているかを慎重に判断する必要があります。金利上昇がなくても収入が減って住宅ローンを続けられなくなる人のケースの方が圧倒的に多いのです。