変動金利VS フラット35! 「子育てプラス」で得をする金利上昇シナリオとは?
変動金利は今後何パーセントまで上がるのか?
植田日銀のマイナス金利政策解除は、表面的にはゼロ%の短期政策金利を0.1%に上昇させる利上げではありましたが、より強調されたのは金融緩和政策を継続するというものでした。 植田総裁は会合後の記者会見で、今後は短期政策金利を操作する伝統的な手法で物価の安定を実現していきたいという方向性を示しました。これを実現するには、現在の0.1%のままではダメです。0.1%から金利を下げると再びマイナス金利政策に逆戻りしてしまいます。 短期政策金利を操作するには、最低でも今の0.1%から1段階金利を上げなければなりません。できれば、上げられるうちに2段階くらい上げておきたいというのが本音ではないかと思います。通常、中央銀行が短期政策金利を操作する場合の最少単位は0.25%ですから、2段階上げれば0.5%上昇することになります。 日銀総裁の任期は5年でちょうど1年経ちましたが、残り4年の間に複数回の利上げを行い、短期政策金利をコントロール可能で、景気を冷やしもせず過熱もさせない自然利子率の水準にしたいと考えていると見ています。 3月の利上げはマイナスをゼロにするもので、いわばノーカウントですが、次の追加利上げからは、いよいよ民間銀行も変動金利の店頭基準金利を上げてくる可能性があります。
5年後の政策金利の水準と、変動金利で借りた場合の影響額
それでは、変動金利で住宅ローンを借りた場合、5年後の政策金利の上場幅によって総返済額がどのくらい増加するのか。シミュレーションで確認してみましょう。 図表1:【金利上昇シミュレーション】 【前提条件】物件価格5,000万円、借入金額5,000万円(フルローン)。変動金利0.4%(5年ルール125%ルールなし )、借入期間35年。元利均等返済、ボーナス払いなし。 なお、+0.00%は今後追加利上げがなく(あったとしても再び下がって)、5年後以降も今の金利水準で安定するという楽観的なシナリオです。この全く上昇しないと予想しているエコノミストは極めて少数派であり、あえて比較のために計算しました。 多数派のエコノミストはある程度の範囲で植田日銀が今後利上げを行うものと予想しています。日銀が金融緩和政策を開始する前、2008年のリーマンショック直前の短期政策金利は0.5%であり、このあたりまでは想定してもよいと思います。変動金利が5年後に0.5%上がると毎月返済額は約1万円増え、総返済額は約401万円増えます。今から5,000万円を変動金利で借りるならこの程度の影響は当たり前に想定しておくべきラインだと思います。 上記はあくまで過去のデータを引き合いにして将来も同じだろう、という無難な予想です。こんなに簡単に将来を予想できるなら誰も苦労はしません。そこで上振れした場合の金利水準でも計算をしてみる必要があります。 例えば変動金利が5年後に1%上がると毎月返済額は約2万円増え、総返済額は約709万円増えます。毎月返済額にしても総返済額にしても、1割を超える増加となります。一般論として1割超という割合は計画の中で無視できないレベルの増減であり、このリスクに対する備えを怠ると計画の大幅な変更を余儀なくされるレベルのリスクと言えます。 一番簡易な対応としては、手持ちの資金で繰り上げ返済をすることによって元本を減らし、毎月の返済額を減らし、利息の負担を減らすという方法です。例えばこのケースで5年後に1%上がるシナリオでしたら、5年後に580万円を返済額軽減型で繰り上げ返済することで毎月の返済額を約12.8万円のままとし、利息の負担を約131万円減らすことが出来ます。変動金利で借りるならば想定を超える金利上昇に備えて手持ちに余裕資金を確保しておく必要があるのですね。