タイトリスト『GT2 ドライバー』は『TSR2 ドライバー』とどこが変わった? 【ヘッドデータ分析で判明】
タイトリストの新モデル“GT“シリーズから『GT2』ドライバーを分析。近年はボール初速を突き詰めたクラブ開発がなされ、「タイトリストスピード」の頭文字を取った“TS”シリーズが展開されていました。『TS』、『TSi』、そして前モデルの『TSR』と3世代に渡り多くのツアープロから支持を獲得してきたドライバーです。クラブ設計家の松尾好員氏によれば「今モデルからタイトリストのクラブ設計の方向性に変化が見られた」と言います。前モデルの『TSR2』と比較しながら『GT2』の性能を紐解いてみた。
浅重心化を進めるタイトリストの狙いは?
GD タイトリスト『GT2』ドライバーを前モデルの『TSR2』ドライバーと比較しながら分析していただきます。ヘッドデータで何か気になるポイントはありますか? 松尾 ヘッドデータを見てみるとクラブ作りの方向性がシフトチェンジしたと感じるポイントと継承されている部分がありました。 GD 具体的にはどの部分ですか? 松尾 重心深度、ヘッドの慣性モーメント、ネック軸回りの慣性モーメント、重心距離の4つです。 GD では重心深度からよろしくお願いします。 松尾 『TSR2』が42.5ミリ、『GT2』が40.0ミリとなっています。基準値(39.0~40.0ミリ)と照らし合わせると前モデルは非常に深い設定だったことに対して、今モデルでは標準値に落ち着いています。ちなみにこの浅重心化は前々モデルにあたる『TSi2』から約2ミリずつ浅くなっています。
GD 重心深度の変化が「タイトリスト」のクラブ作りのシフトチェンジのヒントになっているかもしれないですね。 松尾 はい。重心深度と関連してくるのがヘッドの慣性モーメントになります。『TSR2』が5021g・㎠、『GT2』が4835g・㎠と小さく抑えられています。ここから大慣性モーメントを狙うヘッド設計からシフトチェンジを図っているのではないかと考察しています。 GD 慣性モーメントを大きくして打点のブレに強いヘッド設計とは別の方向となると、クラブの操作性に比重を置いた開発に向かっていると言えるのでしょうか? 松尾 おそらくそうではないかと……。重心深度をどんどん浅くし、それに伴いヘッドの慣性モーメントも低くなっていっています。それによってヘッドの横幅がコンパクトになりフェースローテーションがしやすくなります。実際にヘッドの操作性を判断できるネック軸回りの慣性モーメントを比較すると『TSR2』が8266g・㎠に対し、『GT2』は7869g・㎠と小さくなっています。 GD 『TSR2』よりもフェースローテーションがしやすい、操作性の良いドライバーになったと言えそうですね。では重心距離はいかがですか? 松尾 重心距離は『TSR2』が41.7ミリ、『GT2』が40.8ミリとなっており、フェースの中心部よりもトウ側に重心が設定されているフェードバイアスヘッドと言えます。 GD なるほど。これまでタイトリストの「2」と付くドライバーの特徴であるフェードバイアス設計は継承されているんですね。では『GT2』ドライバーはどんなゴルファーにおすすめですか? 松尾 他のヘッドデータで言うと、重いヘッド重量設計と小さなリアルロフト角の組み合わせは、ボール初速を上げやすくする考えがあると思います。これは「TSシリーズ」から引き続き継承されているので、「タイトリスト」の飛びへの理念として貫いていると感じます。過去モデルよりも操作性が良くなっていることを踏まえると、適度にボールをつかまえながらフェード系弾道でスコアメイクしたいゴルファーは試されるといいと思います。
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