申真衣さん“ゴールドマン・サックス時代”の上司・キャシー松井さんから得た価値観とは?|VERY
──責任ある役職を任されることも増えていく、NaVY世代のキャリア女性。改めて、おふたりが恐れずに“挑戦し続ける”原動力は何でしょうか。
申さん:私はゴールドマン・サックス入社2年目のとき、ロンドンのトレーディングのオファーがあったんです。英語が得意ではないことに怖気付いてしまい断ったことを、いまだに悔しく思っています。その人生を選んでいたらどうなっていたかが悔しいのではなく、明らかにいいオファーなのになぜ引き受けなかったのかと。怖いから挑戦しないは、絶対に後悔する。大きな学びとして、自分の心に常に留めていることです。 キャシーさん:今の会社を立ち上げる話があったときも、恐れるものはなかったですか? 申さん:なかったんです。ゴールドマン・サックスには戻れなかったとしても、金融にはきっと戻ることができるだろうと。それよりもチャレンジしない方がもったいない、ダメだったらそこで得るものもあるだろうと考えていました。キャシーさんほどのキャリアを積んだ人で、そこから新たな挑戦をする人はすごく限られていますよね。 キャシーさん:そうかもしれないですね。私だけではなく、パートナー2人の強い意志に導かれたところもあります。働くことを迷ったのは、一度だけ。乳癌の闘病を終えたときです。当時36歳、その前年に長女を出産、ゴールドマン・サックス 東京オフィス初の女性パートナーに選ばれ、アナリストランキング1位を獲るなど「ここから」というときにがんが発覚。死ぬかもしれない経験を経て、子ども・家族という優先順位が明らかになり、会社復帰を悩みました。親しい友人たちが口を揃えて「アップ トゥユー」というなか、義母だけが「毎週日曜の夜はどんな気持ちだった?」という質問を投げかけてきたんです。私はすごく素直に「疲れている。でも、明日会社に行くことが楽しみだった」と答えていました。私は働くことが好きで、それが自分らしい選択と気づかせてくれた義母には感謝しています。 申さん:素敵なエピソード。私も母になり、自分を表現できる仕事という場所があることのありがたみをいっそう感じています。100年時代といわれる今、80歳までは働こうかと。ここからが本番と、未知なる自分のキャリアにワクワクしているんです。 キャシーさん:最高ですね。ワクワクしていない人は「なぜ、しないのか?」を考えてみるといいと思います。日本は縦割り社会で異なるセクターの人たちと接する機会が少ないですが、アートでもファッションでも、別な世界の人とのコミュニケーションによって自分自身が気づいていなかったエネルギーが見つかるかもしれません。私もそういったコミュニティから多くのエネルギーやアイデアをもらっています。 申さん:今いる場所だけが可能性じゃない。キャシーさんの姿から教わったことです。この先もワクワクさせてくれる存在でいつづけてください!