「予算1万円の居酒屋は高すぎる」「4000円くらいがちょうどいい」日本人が知らない「大企業エリート社員たち」の“羨ましくない経済事情”
総務省統計局「家計調査報告 貯蓄・負債編(2023年)」によると、世帯年収1001万円以上の世帯(平均1309万円)の平均貯蓄額は2517万円、平均負債額は1380万円となっています。貯蓄額から負債額を差し引いた純貯蓄額は1137万円です。 これは平均値なので、億単位の蓄えを持つ世帯もあるでしょうが、逆に相当な数の高所得世帯が貯蓄ゼロ、もしくはマイナスだと推測されます。ともあれ、「老後資金2000万円問題」は、中低所得者だけでなく、大手企業管理職など高所得者にとっても切実な問題のようです。
どうして社宅に住み続けないの?
無駄な支出を減らし、収入の範囲で生活すれば、自然と貯蓄が増えるはず。高収入の大手企業管理職の貯蓄が少ないのは、無駄な支出が多いことを意味します。では、どこにお金を使っているのでしょうか。 再び「家計調査 貯蓄・負債編(2023年)」によると、平均負債1380万円のうち「住宅・土地のための負債」が1297万円です。つまり、大手企業管理職はローンを組んで住宅を取得し、その返済に大きな金額を支出していると推測できます。 大手企業の本社の多くは東京など大都市圏にあり、社員は通勤圏に自宅を購入します。近年、首都圏の住宅価格は高騰しており、ローンの返済が家計の大きな負担になっているのでしょう。 ただ、「どうして高価な住宅を購入するか」という疑問があります。というのは、大手企業は社宅や賃貸住宅の家賃補助など福利厚生が充実しているからです。大手企業では転勤が多いことも考えると、無理に住宅を購入せず、社宅住まいを続けて、引退後に住宅を購入する方が合理的でしょう。 古い話で恐縮ですが、私は日本石油を2002年に退職する前、武蔵小杉駅徒歩4分にある社宅に住んでいました(後に社宅は廃止されて、現在は跡地にタワーマンションが建っています)。広さは80㎡、家賃は月1万2000円でした。 今から考えると夢のような条件でしたが、当時でも30代半ばを過ぎると住宅を購入して社宅から出ていく社員が多数いました。財産形成という観点からすると、まったく非合理的な選択です。 「見栄の張り合いでみんな貧しくなる」大企業のエリート社員になっても“お金持ちにはなれない”「たった1つの理由」 へ続く
日沖 健