「売れている芸人」と「うまいのに売れてない芸人」は何が違うのか…何十年も落語に通って「たどりついた結論」
予期しない「おもしろいもの」は少ないが
お目当てなく、寄席に行くことが多い。 つまり誰が出ているのかを調べずに寄席に行く。 そうすれば、予期してないものに出会える。 【一覧】テレビ局「本当は使いたくないタレント」…ワースト1位は意外な大御所…! 気をつけないと、知っている世界だけで動くようになってしまうので、それを避けようとしている。 ただ予期しないものが、おもしろいとはかぎらない。 予期しないおもしろいものに出会うことは少ない。 寄席は、いつもやっている。 1年だいたい363日営業しており(年末の2日休みが多い)、昼前から夜9時近くまで、ずっと開いている。 そこでずっと「楽しそうなもの」を見せ続けている。 楽しそうなもの、というのが大事だ。 すべてがみんな、めちゃくちゃおもしろいわけではない。 そんな小屋はどこにもない。たぶん世界のどこにもないとおもう。 なんとなく楽しい、というのが一番いいんである。 それだとなんとなく一日もつ。そして、なんとなく二百年もつ。
何でもない芸人さんが次々出てくるおもしろさ
考えてみればなかなかな贅沢な空間だとおもう。 洗練され、歴史を持つ都市にしかない贅沢だ。 きちんとシステム化されていて、それを存続されているのが江戸、ちかごろあらためられて東京と呼ばれるところ。そこにある(大阪にもあるけどちょっといろいろ事情が違うので、とりあえず措く)。 新宿と池袋という山手線で4駅におさまるエリアに1軒ずつあって、また、浅草と上野という銀座線で3駅におさまるエリアに1軒ずつある。その4軒が毎日やっている。 なかは、だいたいゆったりした時間が流れている。 ときに若手の人気者が続けて出たりして気ぜわしいこともあるが、それもときどきだ。だいたいのんびりしている。少なくとも4軒同時に気ぜわしいことはない。 そこへ入ると、何となく楽しい。 ゆったりと見ていると、次々と何でもない芸人さんが出てくる。 あまりにも何でもない芸人さんが次々出てくるので、ちょっとそれだけで笑けてしまうこともあるくらいだ。 身も蓋もない言い方をすると、あまり知られていない、つまり売れていない芸人さんがどんどん出てきて、いろんな人がいるのだなあと、いつも感心してしまう。もう何十年も通っているので見慣れてはいるのだが、束ねて出てくると、やはりちょっと不思議な感じがする。