ココリコ田中さんも驚愕!人間にたとえると「100メートルをたった2秒」で移動する“すごすぎる動物”とは?
――ちなみに、田中さんは動物好きとして有名ですが、特に海の生き物が好きなんですか? 田中 はい、動物は全部好きなんですけど、とりわけ海の生き物に魅力を感じる部分は確かにあります。 地球最初の生命は海で生まれた、つまりあらゆる生き物の原点は、海にあるわけです。なので、海の生き物の生態には、僕たち人間の生活にも通じるヒントがすべて詰まっている気がしていて、だからこそ惹きつけられるんだと思います。 たとえば、クマノミのように、一生の間に性別が変わる生き物は、海中にたくさんいます。メスだけで子どもを産める「単為生殖」ができる生き物もいます。人間にも様々なタイプの性自認や家族の形がありますが、動物の生態を知れば知るほど、そういう多様性があって当然なんだと改めて気づかされます。 そういう意味で、動物のことを深く理解することによって、思考の幅を広げることができるんです。 ● 動物の生態から、地球環境を考える 田中 個人的には、オキアミとクジラの食物連鎖上の関係性も面白かったです。 オキアミはクジラに捕食されるわけですから、クジラの個体数が減ったら、オキアミの数は増えると普通は思いますよね。でも実際には、クジラが減るとオキアミの数も減るんです。 なぜかというと、クジラが海洋に放出するフンには窒素やリン、鉄といった栄養素が含まれていて、それらを植物プランクトンが摂取し、さらにそのプランクトンをオキアミが食べるというサイクルができているからです。 なので、クジラが減ると海中のフンの量が減り、植物性プランクトンもオキアミも連動して減っていく。そんな相互依存関係が興味深かったです。 また、動物の生態を切り口にして、地球環境の問題を考えるのも僕は好きですね。いまの話でいうと、特定の生き物をあるエリアで乱獲すると、そのエリアの生態系が崩れてしまうという話につながります。 しかも、オキアミはCO2を海中に固定する役割も果たしているので、もしオキアミの数が急減したら、大気中のCO2濃度が上がる可能性があります。そう考えると、オキアミの生息状況にも配慮しないといけないですよね。 第1章から、動物の魅力だけでなく、人間の生き方や地球環境についても考えさせられる内容ばかりで、ものすごく勉強になりました。 (本原稿は、アシュリー・ウォード著『動物のひみつ』〈夏目大訳〉に関連した書き下ろし記事です)
アシュリー・ウォード/夏目大
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