世界のベストレストランNo.1シェフによるガストロノミー「CYCLE」大手町に誕生
生命への賛歌とも言える「根、葉、花、果実」をテーマとしたタパス4種
料理はバイオダイナミック農法の4つの要素「根、葉、花、果実」がテーマだ。⾷材本来の⾃然のエネルギーを余すところなく引き出し、⾃然の絶え間ない循環とそのエネルギーを表現している。
この種のライフサイクルを特に体現しているのが、ランチコース(16,500円~)、ディナーコース(26,400円~)のどちらにも含まれる4種の「タパス」だ。この時期は、松ぼっくりやどんぐり、栗など実りの秋を思わせるプレゼンテーションで、器の中からタパスを探す楽しみもある。
誕生を意味する「根」は、キャラメリゼした玉ねぎとタピオカで作った薄いチューブ状の生地に、南仏の料理であるピサラディエールをイメージしたオニオンピューレとアンチョビ、オリーブ、パセリを使ったクリームを詰めた一品で表現。玉ねぎとタピオカのチューブが甘くほろ苦く、表面のタイムやクリームに含まれるパセリがハーブのシャワーのような印象で、食後に清涼感が残る。
成長を意味する「葉」は苔玉のイメージで、牡蠣とエストラゴンの入ったカレー風味のコロッケで作り上げた。フライパンで色づくように牡蠣を焼き、オリーブオイルを入れて乳化させて、エストラゴンをしっかり利かせてカレー粉少々とセロリを加える。それらを自家製のパン粉にほうれん草のピューレ、クロロフィルを合わせて緑色に仕上げた衣で揚げ、最後にエストラゴンをトップにあしらった。エストラゴンの香りに、牡蠣のうまみとほろ苦さがシャンパンを誘う。
再生を意味する「花」は炙りシメサバに、角切りのリンゴ、エシャロットのクリームに菊の花のピクルスをあしらったタルトで表現。うすはりグラスのようなタルトをサクサク頬張ると、塩と酢で締めたサバの和の趣の酸と、シードルビネガーとシェリービネガー、エシャロットで作られたクリームの洋の酸、菊の花の発酵感を帯びた酸が調和して味わいの花が開く。
再誕生を意味する「実・種」は、栗の粉と栗の花由来のハチミツに卵、焦がしバターを合わせて香ばしく焼き上げた栗形のフィナンシェで演出。口に含むとジュンワリと焦がしバターの味わいがあふれ、栗の香りとアルマニャックの高貴な香りが鼻から抜けていく。