発達障害の人の「働きづらさ」とは? 特性や困難を理解して「就職」につなげる方法を徹底解説!
発達障害の人の「働きづらさ」とは
発達障害の人には、「こだわりの強さ」や「不注意」などの心理的・行動的な特性があります。それらの特性が生活や仕事の場面で支障となることがあり、それが本人にとっての生きづらさや働きづらさとなります。 しかし、本人自身やまわりの人たちが、その人の特性をよく理解し、その人に合った環境を整えることができれば、生活上の支障は起こりにくくなります。 それは生活全般的にいえることですが、就労支援でも同様です。働きづらさを解消するためには、まずは発達障害をよく理解することからはじめましょう。 同じ発達障害でも、働きづらさを感じるポイントは人それぞれに異なります。ここではひとつの目安としてタイプ別の悩みを紹介しますが、実際には一人ひとりの困難をよく理解することが重要です。 ■ASD の場合 コミュニケーションが悩みに ASD の人では多くの場合、コミュニケーションが課題に。話が食い違うことが多く、それが仕事の進め方や人間関係などのトラブルにつながる。こだわりの強さが衝突の原因になることもある ■ADHD の場合 ミスがなかなか減らない ADHD の人では、不注意が仕事上の問題につながりやすい。上司の指示を聞き逃したり、重要な用事を忘れたりする。そうしたミスが致命的な問題となることもある ■SLDの場合 書類の作成が苦手に SLD の人には、書類関連のトラブルがみられる。ただ、職場によってはパソコンや計算機などの道具を使えるため、苦手なことがそれほど問題にならない場合もある
仕事が広がると困難が生じてくる
発達障害の人にはそれぞれの生きづらさがあり、仕事に対する困難も人それぞれに違います。 しかし、多くのケースに共通してみられる特徴として、仕事が広がったときに働きづらさを感じやすいということがいえます。 発達障害の人には対人関係や確認作業など、苦手なことがあります。しかし仕事を続けていれば、そうした面も含めた、総合的な能力を求められる機会も出てきます。そこで困難に直面するのです。 そうした経験を何度も繰り返し、転職を続けるなかで、支援機関につながり、発達障害に気づくという人もいます。 ■仕事がなかなか安定しない 発達障害の人には、就職への悩みもみられますが、就職後にその仕事を長く続けることが難しいという悩みもよくみられます。仕事を安定的にこなすことが難しいのです。就職活動から仕事が安定しない流れを見てみましょう。 (1)就職活動は人それぞれ 就職活動では履歴書作成や面接などが課題になりやすい。ただし、この段階ではあまり困難がなく、無事に就職できる人もいる (2)就職後に困難が出やすい 働きはじめると、多くの場合、それぞれの「働きづらさ」が出てくる。仕事自体よりも、仕事に関連した人間関係などに悩む人が多い (3)転職しがちになる 働いていて「仕事が合わない」「職場になじめない」と感じることが多く、転職しがちになる。ひとつの職場になかなか定着できない (4)苦しい働き方に 転職を繰り返すうちに、仕事や勤務形態を選びにくくなっていく。苦しい働き方になってしまう。やがて、仕事をすること自体が難しいと感じて、失業状態から抜け出せなくなる人も。 続きは<背景には仕事とのミスマッチや「ライフスキル」不足も…「発達障害の人が仕事をやめた理由」>にて公開中。
梅永 雄二(早稲田大学教育・総合科学学術院教授)