アウディ伝説の「超高効率ハッチバック」が復活 1990年代の「A2」をEVとして再設計
A2発売25周年記念で製作
ドイツのアウディは、欧州でカルト的人気を誇るハッチバック「A2」の発売25周年を記念して、未来的な外観を持つ電気自動車(EV)コンセプトを公開した。 【写真】時代を先取りしすぎ… 軽量アルミボディに高効率エンジン【アウディA2 eトロン・コンセプトと初代A2を写真で比較】 (14枚) この1台限りのワンオフ車である「A2 eトロン(A2 e-tron)」は、アウディの社員研修プログラムから生まれた最新作だ。同プログラムからは近年、奇抜なRS6 GTOコンセプトや、レースからインスピレーションを得たNSUプリンツの改造版が生み出されている。 A2は1999年から2005年にかけて生産されていたコンパクト・ハッチバックで、革新的な設計と高効率のエンジンを特徴としていた。今回は同車をベースに、アウディの現在のEVの影響を受けて再設計された。 例えば、ヘッドライトはより現代的なLEDに交換され、新型アウディQ6 eトロンと同じく前後のエンブレムが点灯するようになった。 従来のドアハンドルも取り外され、オリジナルのアルミホイールはより現代的な密閉型デザインに置き換えられた。これは間違いなく、空力効率の向上を追求した結果である。 オリジナルのA2は、空気抵抗係数0.25~0.29(Cd値)と、当時最も抵抗の少ない量産車の1つであったが、アウディは今回のコンセプトモデルの数値は公表していない。 また、構造的・技術的にどの量産車と関連しているのかについても、一切明らかにしていない。 全長4000mm未満、全幅1700mmと、現在のEVのエントリーモデルであるQ4 eトロンよりもかなり小さいが、その「MEB」プラットフォームがA2 eトロンに適応された可能性はある。 アウディは2019年、未来のハッチバックのビジョンとしてAI:MEコンセプトを公開し、その形状やサイズが似ていたことからA2が復活するのではないかという憶測を呼んだ。しかし、それ以来、量産化計画について言及していない。 ただ、今回のようなA2 eトロンを名乗るモデルは、早ければ2027年にはショールームに並ぶかもしれない。アウディは、A4とQ4 eトロンの下に位置する「素晴らしくユニーク」なエントリーモデルのEVを開発しており、同社の新しいネーミング戦略によると、その車名は偶数になる見込みだ。 オリジナルのA2は、軽量アルミニウム構造、空気抵抗の少ないボディワーク、そして非常に低燃費なガソリンおよびディーゼルエンジンにより、新時代のファミリーカーとして評価された。しかし、高価で、同時期に販売されていた従来型のクルマよりも実用性に劣っていたため、販売台数は少なく、2005年に生産終了となった。
フェリックス・ペイジ(執筆) 林汰久也(翻訳)