闇バイトに週刊文春記者が潜入した!「死体運搬も」「500万の案件」取材班が目撃した衝撃の実態《勧誘DM&交渉記録を公開》
「サイバー犯罪対策課の……」
「明日ならめちゃくちゃ良い案件があるんですが、めちゃくちゃ難しいですよ」 ――難しい? 運びとか? 「明日、警視庁に行ってもらって、サイバー犯罪対策課に入る10名の顔写真を盗撮してきて欲しいんですよ」 ――ハードルが高い……。 「C署かD署なんですが、何階でセレモニーやるのか分からないんですよね。だから署の中まで入ってもらって、無事撮影できたら50万円を払います」 なんと闇バイト側は、大胆不敵にも警察までターゲットに据えていたのである。
もっとも現在の警察の捜査では、指示役や首謀者の逮捕には未だ至っておらず、事件解決には程遠い状況にあるのが実情だ。何故なのか。 「『シグナル』や『テレグラム』の解析にてこずっているのに加え、警察組織特有の縦割り意識も弊害になっている。合同捜査本部には数百人規模の捜査員が詰めていますが、各県警の縄張り意識が強く、重要情報が全体で共有されていない」(捜査関係者)
複数の犯行現場であるリフォーム会社の関係車両が度々目撃
こうした“縄張り争い”が起きる中、小誌は犯人グループに繋がる新情報を入手。複数の犯行現場で、あるリフォーム会社の関係車両が度々目撃されているというのだ。 「ただ、この会社には強盗とは別件の容疑がかかっており、迂闊に手出しができない」(某県警関係者) 取材班はリフォーム会社の代表を直撃した。 ――御社の車両が一連の広域強盗の現場で何度も目撃されている。 「ウチは普通に建設関係の会社。首都圏エリアは営業で回るので、その付近を通ることはあると思うんですけど、当然強盗には関与していませんよ。うちも逆に被害を受けているというか。こういうご時世で、通報されることが多いのですが、警察がきちんと調べればわかると思うので」 警察も指をくわえているばかりではない。今月2日、初めて強盗事件のリクルーター役を逮捕したのだ。 「金に困ってSNSで闇バイトに応募し、人を集める仕事を始めた」 逮捕後、そう供述しているのは愛知県知多市の会社員・名倉優也容疑者(31)。名倉は先月1日、実行役3人に対し、所沢市の住宅に押し入らせて現金16万円などを奪わせた上、住人の男性に怪我をさせた疑いが持たれている。 名倉は果たして指示役とどう繋がったのか。実家を訪ねると、インターホン越しに母親がか細い声でこう答えた。 「まだ何も分からないんです。そんなことをするなんて想像がつかない……」 名倉を知る近所の住人はこう言って肩を落とす。 「優也くんは本当に優しい子だったのよ。おじいちゃんが亡くなって、1人になったおばあちゃんをよくお世話してあげていてね。車でお買い物に連れて行ってあげたりしていたの。そんな子が一体どうして……」 それまで普通に暮らしていた若者が、突然、闇へ転落する。その深淵への入り口は、日常生活のすぐそばに潜んでいる。 ◆ ◆ ◆ 「 週刊文春 電子版 」では、《連続緊縛強盗潜入取材》の続報を配信している(今なら99円ですべての記事を読むことができます。99円キャンペーンは2025年1月6日まで)。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年11月21日号