闇バイトに週刊文春記者が潜入した!「死体運搬も」「500万の案件」取材班が目撃した衝撃の実態《勧誘DM&交渉記録を公開》
〈即金8000円です!〉
取材班は、その闇の深淵を覗くため、身元を隠した上で、複数のバイト募集アカウントにDMを送信し、返信を待った。すると――。 〈シグナルのアカウントはお持ちですか?〉 〈テレグラムはやっていますか?〉 5分も経たない内にメッセージが次々と届き、匿名性の高い通信アプリでのやりとりに移行させられる。その上で今度は次のようなメッセージが届いたのだ。 〈三菱UFJ銀行の口座を新規開設できますか?〉 〈仮想通貨取引所開設案件 即金8000円です!〉 一体これはどういうことなのか。「ヤクザライフ」などの著書もあり、裏社会に詳しいライターの上野友行氏が解説する。 「銀行口座は詐欺業者が一番欲しがるもの。口座1つにつき3万円程で買い取り、詐欺で得た金の振込先として利用します。仮想通貨取引所の開設依頼も同様で、手配するのは主に“道具屋”と呼ばれる人物です」 当然、銀行口座を他人に譲渡することは犯罪だが、 「口座を作るだけなので罪悪感が薄く手を出しやすい。その上“お前、口座作ったよな”と弱みを握られてしまうことで、更なる犯罪へ手を染めていくケースがよくあります」(同前)
ベランダに生ゴミで6万円
他にはこんな案件も持ち掛けられた。 〈保証金や身分証明書などは一切必要ございません。匿名でできます〉 どんな仕事かを尋ねると、 「マンションに住むある人のポストに釣り餌のオキアミを入れて3万円。ベランダに生ゴミを5個投げ入れて6万円です。1階なのでやりやすいと思います」 これは、嫌がらせを受けた住民がマンションから退去するよう仕向ける“地上げ”に他ならない。 次に依頼があったのは、こんな案件だ。 〈都内の違法経営をしているマンションに行って現金回収をお願いします。捕まることもまずないです〉 一見すると簡単な仕事にも思えるが、実はそこに“罠”があるという。前出の上野氏が解説する。 「この案件こそ“タタキ(強盗)”の可能性が非常に高い。本来、金を回収するだけなら自分で行けばいい。それなのに他人に行かせるのは、後ろ暗いことがあるからでしょう」 さらに「違法経営をしている」と書かれていることもポイントだという。 「かつてタタキと言えば裏カジノや違法風俗店といった場所が多かった。『違法な店や人間から金を取る』のであれば罪悪感も生まれないし、被害にあった店も警察に通報できませんからね」(同前) いとも簡単に紹介される闇バイトの数々。こうした勧誘を受けながら、小誌記者はリクルーターと電話で話すことにも成功した。それが冒頭のやり取りである。