《ブラジル》脳性麻痺女児に寄付募って=インフルエンサー両親が横領
脳性麻痺を持つ2歳の娘の日常生活をSNSで発信するインフルエンサーの両親に、娘の治療を目的としたフォロワーからの寄付金を横領した疑いがかけられた上、娘への虐待も日常的に行っていたとして、警察が捜査を進めている。24日付G1サイトなどが報じた。 ブラジル中部ゴイアス州のアナポリス児童保護評議会は24日、父親のイゴール・ヴィアナ容疑者(24歳)とアナ・サンチ容疑者(22歳)の娘ソフィアちゃんを父方の祖父母のもとに送る決定を下した。これは、脳性小児麻痺を患っている娘に対し「うるさい」と呼ぶなど、不当に扱ったとしてイゴール容疑者が告発され、彼が子供への寄付金を私的に流用したことを自白する音声記録が流出した後に下された。 同評議会のグラジエレ・ラモス氏は「最初の告発は、イゴール容疑者が娘の母親であるアナ容疑者に対して下品な言葉でののしる動画についてだった。我々はすぐさま母子を守るために母親に連絡を取ったところ、その動画はマーケティング上の策略であることが明らかになった。女性であるアナ容疑者が被害者を演じることで、フォロワーの感情を煽ろうと2人が仕組んだ行動であることがわかり、我々はショックを受けた」と説明した。 イゴール容疑者はSNS上で自らを「ソソ(ソフィアちゃん愛称)の父親」「生ける神のしもべ」と名乗り、数千人のフォロワーを持っていた。また治療に使用する目的で寄付を募っていた。しかし彼のSNSには、娘の様子をからかうような発言も多数投稿されており、そのうちの一つには、彼が娘に買い物に行くように言った後、「この役立たず」と叫ぶ様子がはっきりと捉えられていた。 G1の取材に対してイゴール容疑者は、娘を嘲笑する動画についてコメントし、この子は「迷惑」であり、そのおかげで多くの問題を被っていると主張した。「脳の10%しか機能していない子供が、これほどまでに私を困らせ、迷惑をかけるとは想像もしていなかった。この子を孤児院の門の前に置き去りにしたい衝動に駆られる」とも述べていた。 警察には、娘が十分に面倒を見られておらず、ネグレクトされ、衛生状態も良くないという苦情も寄せられている。 虐待だけでなく、両親は娘のための寄付金を横領したとして捜査されている。流出した音声には、イゴール容疑者は寄付者を「カモ」と呼び、その資金を「娘に対して使う義務はない」と述べ、自分名義に口座に入ったお金だから自分が自由に使う権利があるとさえ主張した。 イゴール容疑者とアナ容疑者は別居しており、2人の間の合意で娘は父親と暮らすと定められていた。虐待から守るため、裁判官によって同事件が分析されるまで両親が娘に近づくことを禁止した。