【阪神】秘密兵器ベタンセス、自己最速161キロに観客どよめき「支配下可能性は十分」藤川監督
<阪神紅白戦>◇3日◇安芸市営球場 とっておきの秘密兵器や! 阪神藤川球児監督(44)が就任して初実戦となる紅白戦が3日に行われ、育成のホセ・ベタンセス投手(25)が自己最速の161キロをたたき出し、支配下へ猛アピールした。今年1月にドミニカ共和国で行った入団トライアウトで、当時球団本部付スペシャルアシスタント(SA)だった指揮官も現地で視察した「金の卵」。高知秋季キャンプでは19年の約6000人を上回り過去最多級の約6300人が来場する中、新助っ人が才能を光らせた。 ◇ ◇ ◇ 紅白戦ラスト1球で飛び出した剛速球に、満員の観客がどよめいた。0-0のまま迎えた最終6回1死一、二塁。183センチ、102キロのベタンセスが小幡にパワフルな直球を投げ込むと、投ゴロ併殺打でゲームセット。安芸市営球場のスコアボードには「161キロ」が表示されていた。 今年2月下旬に育成選手として入団し、約7カ月で自己最速を1キロ更新した。周囲の驚きとは裏腹に、本人は「正直、個人的にあまりビックリしていない。そのためにずっと練習してきたので」と大物ぶりを感じさせた。 打席の後ろで見守っていた藤川監督はうれしそうにほおを緩めた。「高知県にあんなボールを投げる人いないでしょ(笑い)。安芸市最速かもしれませんね」。実は指揮官の秘蔵っ子。球団本部付きSAだった今年1月、球団で初めてドミニカ共和国で入団トライアウトを実施した際に、藤川監督も現地で右腕を視察していた。 もともと速球という武器は持っていたが、技術は粗削り。「ファームの投手コーチが地道にゆっくり日本の野球を教えてきて。最後のショートスローも当初、ドミニカ(共和国)で見た時はできなかった。成長を感じる一瞬だった」。確かな進化にうなずき、支配下の可能性も否定しなかった。「チャンスがありそうな気がしますね。育成選手からの引き上げが大事になると思っているので、可能性は十分にあります」。藤川監督の目で発掘された「金の卵」が、来季の大きな戦力になるかもしれない。 この日は高知秋季キャンプでは過去最多級の観衆6300人が集結し、警備スタッフも増員。外野席も開放され、球団関係者も「秋季キャンプで開放した記憶はない」と驚いた。「球児フィーバー」に沸く高知で、助っ人が新たな可能性を示した。【磯綾乃】 ▽阪神栄枝(紅白戦でベタンセスとバッテリー)「真っすぐが左打者にどれくらい通用するかというのは見ておきたかった。力を発揮していたと思います」 ▽阪神村上(ブルペンで藤川監督と対話)「体の使い方についての確認です」 ▽阪神田中内野守備走塁コーチ(昨季藤本総合コーチが務めた三塁コーチに入り)「とりあえず三塁コーチャーをやらせてもらいます。責任を持って」