漫画家・猿渡哲也の「烈侠伝」 第3回ゲスト・岩城滉一「『北の国から』の北海道ロケではすべてが吹き替えなしのガチンコだった」
猿渡 岩城さんはそもそも悩むこと自体、今までの過去を振り返ってみて、ありましたか? 僕からすると、ずっと順風満帆でやってきているように見えるんですが。 岩城 ありましたよ。今週は銀座にまだ2回しか飲みに行けてないなぁとか(笑)。それは冗談だけど、本当に苦しい時期もあった。 うちの親父はバブルの頃に土地をいじっちゃって、相当な額の借金をつくってしまい、そのまま逝っちゃったんですよ。でも、せっかく育ててくれた親父の名を汚したくないから、ちゃんと返済しました。 正直、首をくくらないと無理かもっていうときもあったけどね。額がすごすぎて。でも、なんとかなるものなんですよ。 猿渡 岩城さんのバイタリティあふれるお話を聞いて、なんかすがすがしい気持ちになりました。長生きするために、お酒やたばこをセーブするだとか、そういうことはされてます? 岩城 あと何年生きられるかわからないのに、なんでそんなことイチイチ気にしていかなきゃならないんだよ!(笑)。人に迷惑をかけなければいいんだからさ、自分で好きなようにやって死ねばいいじゃない。 猿渡 ははは、確かに! 達観されてますね。 岩城 僕ね、お墓もすでに建てて、戒名も作ってもらってるんですよ。これがまたいい戒名でさ。あまりにも素晴らしいから、背中一面に入れ墨で彫ってもらいたいなと。でも、カミさんにはまだそれを切り出せていないんだ(笑)。 ●岩城滉一(いわき・こういち) 昭和26年(1951年)生まれ、東京都出身。硬派バイクチーム「クールス」の副リーダーを務めていた時代に東映の関係者よりスカウト、『新幹線大爆破』(75年)でデビュー。以後、『爆発!暴走族』(75年)や『南へ走れ、海の道を!』(86年)、ドラマ『北の国から』シリーズ(81~2002年)などで活躍。 ●猿渡哲也(さるわたり・てつや) 昭和33年(1958年)生まれ、福岡県出身。『海の戦士』(週刊少年ジャンプ)でデビュー。格闘漫画『高校鉄拳伝タフ』『TOUGH』『TOUGH 龍を継ぐ男』のシリーズは累計1000万部超を記録している。 撮影/熊谷 貫 構成・文/高橋史門