株式取引にいちばん有効な情報「適時開示」は、いつ見るべき?
情報の公表が、適時開示が最初ではない場合もある?
上場会社の重要な情報は、基本的に適時開示によって最初に開示されます。ただし、金融商品取引法による開示も同時に求められる事実の場合、金融商品取引法による開示の方が先に行われることがあります。 例えば、増資を行う場合、適時開示とともに、金融商品取引法に基づく有価証券届出書の開示も必要とされるのですが、その場合、有価証券届出書の方が先に開示されることがあるのです。これは、財務局が上場会社に対してそうした指導を行っているためです(「有価証券届出書の方を先に提出せよ」と)。 ただ、有価証券届出書が先といっても、ごくわずかの時間差で、通常、同日中にせいぜい数分差で開示されます(別々の端末から入力できる会社の場合、同時に開示することもあります)。したがって、適時開示を確認していれば、問題ありません(EDINETを確認するのも面倒ですし)。
マスコミが先に報道した場合、「~に関する一部報道について」
適時開示の前にマスコミが先に報道してしまう場合があります。そうした報道があると、対象となった会社は、通常、「~に関する一部報道について」といった適時開示を行います。 そうした場合も、マスコミの報道によって投資判断を行うのではなく、会社による適時開示を確認してからにすべきです。マスコミの報道は未確定のものであり、そのとおりにことが運ぶとは限らず、多少異なる結果となったり、場合によっては、その話じたいがなくなってしまうこともあります。 不確かな情報で投資家の投資判断を誤らせたマスコミの責任については、また別の機会にお話したいところですが、どんな場合でもまず適時開示を確認すべきです。 (事業創造大学院大学准教授 鈴木広樹)