超LINE大国・台湾で「独自機能」がスーパー進化中。選挙から感染対策まで活用されて、利用率は日本以上!
そして、コロナ禍でも大活躍だった。流行初期にはマスク不足が深刻だったが、天才オードリー・タン台湾デジタル担当大臣(当時)が提唱したマスクマップサービスにより、どこに在庫があるかが可視化され、購入予約もできるようになった。 このマスクマップもLINEと連動し、在庫がある近隣の薬局をチャットボットで教えてくれる。難しいアプリは使いこなせない高齢者でも、LINEのメッセージ機能でならば簡単だと好評だった。 また、コロナ対策アプリとしても活用された。お店や会社、公共交通機関などに張られたQRコードをスマホで読み取ると、その場所で感染者が出れば連絡が来るという仕組みだ。 LINEは「ハイパーローカライゼーション」を標榜し、それぞれの地域ごとに異なるサービスを打ち出している。日本以上に普及し利用されている台湾では、サービスの種類も豊富だ。動画配信、配車、飲食店予約、ネットショッピング、動画ニュースもある本格的なニュースポータル「LINE TODAY」など、日本にはないサービスも多い。 特にユニークな機能がファクトチェッカーだ。バズっている情報が本当かどうかを簡単に確かめることができる。日本でも昨年から同様の取り組みが始まったが、台湾では2019年からスタート。中国本土からの情報工作もあり、ネットの安全を守るための役割を果たしている。 ひとつのアプリとは思えないほどに多種多様な機能を詰め込んだアプリを「スーパーアプリ」と呼ぶ。代表格は中国のウィーチャットだが、LINEも(少なくとも台湾版では)ウィーチャットに負けていない。 世界を取れなかった代わりに、残った地域を深掘りしまくって機能を追加していった結果、スーパーアプリという同じゴールに行き着いたわけだ。 というわけで、LINE台湾には数多くのさまざまなサービスがあるが、メッセージアプリに次いで利用者が多いのが決済サービスのLINE Payだ。 この12月にはLINE Pay Taiwanとして台湾証券取引所に上場を果たす。利用者数は1200万人を突破、利用可能なスポットは57万ヵ所を数えるという。昨年の売り上げは約47億台湾ドル(約217億円)、なんと5年前から11倍という急成長を遂げている。 台湾旅行に行くと悩ましいのが、クレジットカードを使えないお店が多いこと。台湾名物の夜市など、ステキな屋台や小店舗が多いのに、手持ちの現金が足りなくて困ることがしばしば。 そうした場所でもLINE Payなら使えることが多いのは助かる。台湾旅行のたびに助けられてきたのに、来年4月には日本版が終了するのでもう頼れなくなってしまうのがなんとも悲しい。 ただ、メッセージアプリとしては1強状態でも、モバイル決済では競合との激戦が続いている。PXペイ、街口ペイ、台湾ペイ、悠遊カード、アップルペイ、グーグルペイ......などなど、日本と同じく無数の種類の〝○○ペイ〟が乱立している。 激しい競争が続いているだけに各社はお得なポイントでユーザーを奪い合う戦いに突入しており、王者LINE Payも気を抜けない状況のようだ。 取材・文・撮影/高口康太