“耳が不自由な人”ではなく「聾者」という言葉を 聾者の高校生が訴える「偏見のない未来」 聴者だけの学校で「壁」見つめ直すきっかけに
「聾者の習慣や歴史、芸術性も伝えたい」
授業では音声認識アプリ「YYProbe」を使っている。 筆者も信太さんから教わって使っているがとても便利だ。 信太美紗生さん: 授業ではアプリが読み取りやすいように前に座らせてもらっています。 部活はバスケットボール部に入って、次は卓球部も入りましたが、練習日が少ないので、いまは陸上部にも一緒にやろうと誘われて参加しています。 スピーチで信太さんは「同年代と交流を重ねてみて、聴者からの『聾者は可哀想』というイメージや壁がある事は私の偏見だと気づきました」と語り、こう続けていた。 信太美紗生さん: 大人達ではなく、同年代と関わり壁がない事に気づき、自分からいろいろ行動してみることで、手話だけでなく、聾者の習慣や歴史、芸術性についても伝えたいと感じました。 まずは自分の周りからその輪を広げていきたいです。聾者一人一人が伝えていけば、より深くわかり合えると思います。
「地道に訴えていかないと皆気づかない」
学校では手話のコミュニケーションのほか、聾者が手話を禁止され苦しみ手話が言語と認められるまで、80年以上かかった聾者の歴史を友達に話したり、手話ポエム(※)を披露したりした。 同級生からは「初めて知った」「一緒にやってみたい、教えて」と言われたという。 信太美紗生さん: 地道に訴えていかないと皆気がつかないと思います。自分1人でできることは範囲がとても狭いので、例えば、同級生に言ったらお母さんに言ってもらってと、口伝に広がればいいなと思っています。 (※)日本手話の特性を活かし、情景や気持ちを表現する「見える詩」 信太さんは高校1年生。これから将来に向けてどんなことをしたいのか聞いてみた。 信太美紗生さん: 明晴学園では韓国に海外研修旅行に行きましたが、自分の視野が狭いことに気づいて、もっと世界を知りたいなと思いました。 いまASL(=アメリカ手話)を覚えているので使ってみたいですね。将来は、場所はまだ決まってないのですが、芝居に関して学べる場所に行きたいです。