CMでよく見る「車の衝突試験」はぶつけるしか方法はない? シミュレーションでは対応できないの?
テレビCMで車の衝突試験を見かけたとき、衝突試験はシミュレーションで対応できないかが気になる人もいるでしょう。 今回はCMでよく見る車の衝突試験の目的や、試験後の車がどのように使われているのかをご紹介します。あわせて、シミュレーションでの代用可否や衝突試験にかかるとされている金額の目安もまとめました。
CMでよく見る車の衝突試験の目的は?
CMで見かける車の衝突試験の目的は、エアバッグやシートベルトなどの車の安全装置に関する性能を評価するために実施されているといわれています。 衝突試験は、1車種に対して3回の異なる試験を行うことが一般的です。フルラップ前面衝突試験、オフセット前面衝突試験、側面衝突試験の3つがあり、車内にはそれぞれ専用のダミー人形を設置して試験を行います。 各衝突試験が実施された後、点数によって試験結果が出されます。ここでの点数が実際の評価となり、安全性能が高いかどうかを判断するものとなるようです。
衝突試験後の車はどのように使われている?
衝突試験を実施した後の車は、通常の車両としては使用できないとされています。そのため、基本的にはすべてが廃車になると考えられます。 複数の試験を行う際は、1つの試験に使用した車種をそのまま別の試験には流用できないため、すべての試験を完了させるには、試験ごとに車を用意しなければなりません。 仮に前述の3つの試験を行う場合、新車価格で300万円する車を試験するだけで900万円分の車両が廃車になってしまいます。しかし、安全性能が低い車を世に売り出すことで問題になる可能性もあるため、衝突試験は重要な試験だといえるでしょう。 なお、廃車になった車は廃車処分されるほか、鉄くずとして売却されているケースもあるようです。また、売却される前には消防署のレスキュー訓練に使用されているケースもあるようで、さまざまな場面で活用されていることが分かります。
衝突試験はシミュレーションで代用できない?
衝突試験をシミュレーションで代用することは難しいとされています。シミュレーションの精度は年々高まっていると考えられていますが、それでも実際の事象に比べると、どうしても正確性が低下してしまう点が主な理由といえるでしょう。 例えば車の形状や大きさ、重量などによって細かな部分の条件は異なることが予想されます。シミュレーションで数値を出したとしても、実際の状況では大幅に変わってしまうケースもあるため、実際に衝突させてみることが重要と考えられているようです。 もちろんシミュレーションで計算できる部分が全くないわけではないようなので、実車試験とシミュレーションは互いに補完的な関係にあるといえるでしょう。