イッセイ ミヤケ出身「QUIITO」香村茉友が大切にする“服作りの美学”
できる限り手に取りやすい価格で、香村が「キイト」を通して目指すもの
⎯⎯現在の率直な心境を聞かせてください。 まずは、セールス担当のkuonさんや、量産に協力してくださった工場さんなど、ここまで支えてくださった方々にお礼を言いたいです。ブランドがローンチするまで、商標や資金、作り場の問題など、本当に色々な壁がありました。私は服を作ることしかできず、周囲の方々の助けがなければこのスタートラインに立つことはできなかったので、感謝の気持ちで一杯です。 ⎯⎯展示会の評判はどうでしたか? 想像以上に良い反応を頂きました。デビューコレクションでここまでオーダーを頂けるとは正直思っていなかったので嬉しい反面、数字を見て身が引き締まる思いです。店頭でも好調に売れていると聞いていますし、7月に発売した「シティショップ(CITYSHOP)」の別注は初日に完売し、反響も大きかったです。 ⎯⎯現在のブランドの課題は? 課題は二つ。一つはリメイクする際の原材料である古着の調達です。なるべく使える古着の範囲を広げる工夫はしているとはいえ、どんな古着でも良い訳ではないので、質の良い古着を十分な量確保できる環境を整えることが大事になってきています。 もう一つは、量産体制の確立。リメイクアイテムは既に縫われているものを解体するので、生地を裁断して縫製する一般的な縫製工場さんにはお願いできないんです。デビューコレクションは一部の対応可能な工場さんに依頼してなんとか納期に間に合わせましたが、今後オーダーが増えてきた時に今のままでは対応が難しくなる可能性もあるので、ここの体制を整えていくことは喫緊の課題と言えると思います。 ⎯⎯現在のブランドの目標について教えてください。 スタートしたばかりのブランドなので、まずは知名度を上げて、多くの人に知ってもらいたいです。 ⎯⎯デニムジャケットで3~5万円、デニムパンツで3~4万円ほどと、手が込んでいる割に良心的な価格設定のように感じますが、プライスについてのこだわりは? できる限り手に取りやすい価格で、というのはブランドを立ち上げると決めた時からずっと考えています。出来る限り価格を抑えて多くの人に商品を手に取ってもらうことで、一枚でも廃棄される服の数を減らしたい。ここの軸はブラさずに、今後も服作りに励んでいきたいと思います。 (聞き手:村田太一)