常磐興産が設備投資強化 米ファンド傘下、上場廃止へ ハワイアンズ名称維持
福島県いわき市の温泉施設「スパリゾートハワイアンズ」を運営している常磐興産(本社・いわき市、関根一志社長)は9日、米投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」の傘下に入る方針を発表した。老朽化した施設の補修・改修に必要な費用を確保し、設備投資を強化する。ハワイアンズの名称や従業員の雇用は維持される。フォートレスは常磐興産の全株式取得を目指し、10日からTOB(株式公開買い付け)を実施する。買収総額は最大で140億円規模となる見通し。 ハワイアンズは、前身である常磐ハワイアンセンターの1966(昭和41)年の開業から半世紀以上が経過し、施設の老朽化が進んでいる。しかし、東日本大震災の影響に加え、新型コロナウイルス禍で経営が悪化して借入金の負担が増加し、設備投資ができる状態にないことから、不動産事業などに強みがあるフォートレスの買収提案を受け入れた。 常磐興産は9日の取締役会でTOBへの賛同を表明した。買い付け価格は1株1650円。東証スタンダード市場は上場廃止となる見込み。
新体制でウォーターパーク関連施設などの補修・改修などに投資し、収容人数の増加を図る。繁閑に応じた変動料金制の導入や割引プランの料金見直し、年間パスの廃止などで収益の最大化を図る。フラガールのショー、地域や取引先との関係は継続する。 常磐興産経営企画部の生田目政明リーダーは「投資によって施設改修が進めば、お客さまの快適性や利便性向上につながる」とメリットを説明した。 スパリゾートハワイアンズはダンシングチーム「フラガール」のステージショーが人気で、フラガールを題材にした同名映画が大ヒットしたことでも知られる。東日本大震災後、復興の象徴となった。 常磐興産の2024(令和6)年3月期決算の連結売上高は148億8100万円。2024年3月31日現在の連結の従業員数は593人。 【常磐興産の変遷】 1884(明治17)年10月 磐城炭礦社が設立 1895年5月 入山採炭が創立