8年かけて定着?「ブラックフライデー」 実はAmazonより早かった意外な先駆者が
近年、耳にする機会が増えた「ブラックフライデー」。おなじみ大手通販サイトが持ち込んだセール文化かと思いきや、実はそうではないという。今年はひと味ちがう様相も見せたブラックフライデーに、消費経済アナリストの渡辺広明氏は「日本の消費マインドを変える機会になるかもしれない」と期待を寄せる――。 【写真】マツキヨはまさかのアイテムで勝負…韓国と火花散らす「日本企業」のベトナム戦略 ***
今年はひっそりしていたボジョレーヌーボーと対照的に、ブラックフライデーは例年になく盛り上がったように思う。多くの国民に認知され、2024年は“ブラックフライデー元年”といわれる年になったのではないだろうか。 そもそもブラックフライデーとは、アメリカの感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日金曜日を指す。年末年始商戦が始まる時期にあたり、小売業のマーケティング戦略として1980年代から定着していった。 日本で知られるようになったのは、2017年にネット通販最大手のAmazonの参入によるところが大きい。ただ、実はイオンが、その前年の2016年から始めていることはあまり知られていない。8年が経つ現在、イオンは「ブラックパンダ」というキャラクターをテレビCMなどで前面に打ち出し、ブラックフライデーの認知をさらに向上させている。いわば日本定着の立役者なのだ。
「遊覧ヘリ」もあった“ちょっと贅沢”
ブラックフライデーも基本的にはセールだから、節約思考のニーズに合致する側面もある。とはいえ今年は33年ぶりの賃上げ基調だけあってか“買い物の楽しさ”を思い起こさせる企画も増えていた。 たとえばイオンでは、キャラクターのブラックパンダと連動したパッケージの商品や企画を展開。「丸富製紙 ブラックパンダトイレット12ロール 2倍巻き」(822円税込)、「サンヨー食品 サッポロ一番 カップスター ブラック味噌」(127円税込)など、約80品を発売していた。 また、賃上げによって個人金融資産が2,212兆円と過去最高になり、懐に余裕のある家庭も増えたのだろう。そのようなターゲットに向け、「ちょっと贅沢」を後押しする商品もあった。我が家も、イオンでブラックの箱に入った13度の糖度保障サンふじ2kg(1,490円税込)を買い、ちょっと贅沢な食卓となった。 高島屋では11月29日の「いい肉の日」にかけて、オンラインストアなどで、バイヤー厳選の近江牛や黒毛和牛の希少部位セットなど、約90種類の特別販売し、早々に完売していた。 「ちょっと贅沢」はモノだけではなく、コトへも移行している。 高島屋では、東京の夜景をナイトヘリで遊覧できるパッケージ(4名で11万8,800円税込)を発売し、こちらも人気だったようだ。旅行業界もブラックフライデーセールで活性化した。私もトランプ氏の大統領就任式に向けてロサンゼルス往復航空券を探していたところ、ZIPAIRで往復6万6,266円の航空券を買うことができた。