PGAツアー中継でお馴染み、リアルタイムで弾道を可視化してくれるショット分析システム「ShotLink」がもたらしたゴルフ界への影響とは?【ゴルフメカニクス研究所 #4】
ゴルフに関する様々な理論に精通するインストラクター・大庭可南太がPGAツアーで採用されているショット分析システムの「ShotLink」について解説する。
こんにちは。ゴルフインストラクターの大庭可南太です。今年もハワイからPGAツアーが始まりまして、大会名も「ザ・セントリー」とシンプルになって(以前は「ザ・セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」)シーズンがスタートしました。 今回はPGAツアーの中継を見ていると必ず出てくる、ショット分析システムの「ShotLink(ショットリンク)」について、その仕組みとゴルフ界に与えている影響について紹介したいと思います。
「ShotLink(ショットリンク)」とは何か?
PGAツアー中継では、パットのシーンになると、カップまでの距離とカップインの確率とかが表示されますが、要はあの仕組みを提供しているシステムが「ShotLink」です。 PGAツアーではこうしたカメラをホール周辺に多数配置して、ボールの着弾を感知して自動で計測することを全選手の全ショットで行っています。すると大会あたり約3万2000ショットの計測になるようです。 原理としてはそれほど難しくないように思えますし、事実この取り組みそのものは2003年にスタートしていますので、「日本の中継でもやればいいのに」などと簡単に思ってしまうわけですが、どうも調べると結構大がかりな仕組みであることが分かってきます。
リアルタイムで計測を行い、そのデータをライブ中継で表示するためにはデータの送受信が迅速かつ確実に行われる必要がありますので、すべてのカメラとデータセンターを有線のケーブルでつないでいるというのです。思えば日本の大会会場でもテレビ中継では有線ケーブルをかなり使用していますので、電源の確保やデータ送受信の確実性という点では、まだまだ無線では難しいということだと思います。 その状況で全選手の全ショットを記録するとなると、各ホールのグリーン周りと各ショットの落下地点での計測で、カメラが1ホールあたりおそらく5~6台は必要になって、それを全部ケーブルで配線する必要があるということですね。 日本の中継であればティーショット地点とグリーンを見下ろせるカメラを固定で設置して、中間点ではハンディカメラでという対応になると思いますが、それも全ホールではなく、また全選手でもありません。 よってPGAの中継ではこのShotLinkのカメラと、中継用のカメラも合わせると途方もない台数のカメラを用意する必要があります。そのため大会の8日前から設置準備を行う必要があるとしています。