中小企業事業承継、トラブル続発 市場未成熟、「吸血型」買収も
中小企業の合併・買収(M&A)による事業承継のトラブルが相次いでいることが5日、分かった。売り手側は期待していた十分な経営支援を受けられず、多額の現預金が吸い上げられる。買い手に加え、仲介業者も取引を助長したとして批判を浴びる。こうした買収は「吸血型」と呼ばれ、M&A市場が未成熟な中で混乱が目立っている。 M&Aによる事業承継は経営者の高齢化に伴って拡大が続く。情報会社レコフデータによると、2024年は公表ベースで850件程度と前年から約2割増え、過去最高を大幅に更新する見通し。 東京商工リサーチなどによると、買い手が買収先の資産を頼りにM&Aを繰り返して規模拡大を図ったものの経営が好転せず、破綻が連鎖した例がある。 成約で手数料を稼ぐ仲介業者が不誠実な買い手に繰り返し候補企業を持ち込み、トラブルが拡大した側面もある。市場は近年急成長し、中小企業庁に登録する仲介業者約2800社のうち半数は20年代の設立だ。大手の幹部は「業者の質はばらばらだ」と語る。