JALの相次ぐトラブル、背景にOJTやコミュニケーション不足も
管制側の過労も
コックピット内の緊張した環境によって、円滑なコミュニケーションを取りづらくなっている面があると、関係者は話す。国交省が開いた整備士や操縦士の人材確保に向けた検討会でのJALの資料によると、機長は50歳以上が多い一方、副操縦士の多くは20代から40代前半が占める。
米シアトル・タコマ国際空港で起きた管制許可を受けずに滑走路を横断した事象では、副操縦士は横断許可がないことに疑念を持っていたがトラブルの発生を防げなかった。JALの報告書によると、機長からの滑走路横断に同意を求めるような発話に、問題がないものと思い込んだという。
JALは再発防止に向けて、経営トップが率先して安全意識の再徹底に取り組むとするほか、安全管理システムの見直しも進める。
航空業界の安全性向上に向けて、管制側も手を打とうとしている。1月に起きた羽田空港の事故を受けて対策を検討してきた国交省の専門家委員会は24日、管制官に対する注意喚起システムのアラート機能を強化する再発防止策などを発表した。管制官の数を増やすことも検討する。
過労の問題も指摘されている。4月から時間外労働の上限規制がトラック運転手や建設作業員にも適用になった。航空管制官も規制の対象になるが、人手不足のため、実際にはあまり変わっていない。
管制官は2時間ごとに10分間の休憩を取らなければならないが、「人手不足のためほとんど取れない」と国土交通労働組合の佐藤比呂喜中央執行副委員長は話す。2022年に休憩時間を監視するシステムが導入されたが、全体の労働者数に変化はないため、「事実上、状況に変化はない」と佐藤氏は述べた。
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Supriya Singh