「ポカリスエット」上昇基調 新規層獲得するなどユーザー数の増加が大きく貢献 大塚製薬
大塚製薬の「ポカリスエット」ブランドは2021年以降順調に上昇を続けている。 20年には行動制限の影響から販売数量が減少したが、22年は前年比13.2%増の2739万ケース。23年は前年実績と同年4月1日に実施した価格改定の影響があったものの通年では1.4%増の2778万ケースを記録した。 直近の1-6月の販売数量は前年並みとなった。
近年成長を続けている要因として、岩﨑央弥(なかや)ニュートラシューティカルズ事業部製品部ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャーは「昨年は猛暑の影響と、季節に合わせた施策の実施や近年高まっている体調管理ニーズなどに対応して新規層を獲得するなどユーザーの数が増えていることが大きく貢献した」と振り返る。 昨年実施した施策では、初音ミクとのコラボで発汗の習慣をつけて暑さに慣れる「暑熱順化」を啓発したことが奏功した。今年も継続して初音ミクとのコラボを実施し、熱中症対策のひとつとして、生活者に暑熱順化の実践を促す。 熱中症対策の啓発においては、大塚製薬が47都道府県をはじめとする700以上の全国の自治体と締結している健康に関する包括的な連携協定が大きな役割を果たしているという。 「例えば一例として、公立の中学校には基本的に自販機が置かれていないが、水筒に入れていた飲料が全部無くなり飲み物が水道水しかないという環境は適切ではないということで、現在、中学校への自販機設置を自治体と一緒に進めている。学校の教員やスポーツ指導者などに情報提供を行い、その方から熱中症対策や水分補給に関する情報と正しくお伝えいただく地道な活動も実を結んでいる」と説明する。 昨年7月には環境省として初の熱中症による事故の減少を目的とした連携協定を締結し、協働で国民に向けた熱中症対策を推進。 今年3月21日には、独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)と熱中症対策の推進に関する連携協定を締結した。 ERCAは環境省などが所管する環境分野の政策実施機関。民間企業との初の連携協定締結となった。 政府は、気候変動適応法と独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正し(4月1日に施行)して「熱中症対策実行計画」を策定。 これにより、熱中症による深刻な健康被害が発生し得る極端な高温時に、国民に注意を促す特別警戒情報の発表・周知とともに、発表期間中における暑熱避難施設(クーリングシェルター)の開放措置など熱中症予防を強化するための仕組みが法定化される。 熱中症対策の政策実施を担うERCAは、このたびの法改正に基づき、熱中症警戒情報または特別警戒情報の前提となる情報を提供する。加えて、地域の優良事例の収集・周知による熱中症対策の強化、地方公共団体等に向けた研修・講習会の実施などを行い、 大塚製薬がこれらの活動に協力する。 ERCAとの連携については「日本各地でさらに熱中症対策を推進させるため、30年以上にわたる熱中症対策啓発の実績を積み重ね蓄積された当社の知見やノウハウで貢献していきたい」と意気込む。 今後も地球温暖化で暑熱環境におかれる機会が多くなることが予想される中、「ポカリスエット」の今年の方針に「気候変動による気温上昇に対し、体温調節機能を維持するために水分・電解質の補給を適切に行うことの重要性をより浸透させることと、その際には『ポカリスエット』が好適であることを改めて伝えていく」ことを掲げる。