それほど大きな問題ではない? 「iDeCo改悪」によって影響を受ける人、逆にメリットがある人とは
少額でも早く、そして長く続けることがポイント
いずれにしろ、今回発表された今後の方向性をにらみつつiDeCoの活用法を改めて考えると、ますます早くから始めて長く続けることが良いのではないかと思います。例えば20歳から70歳まで加入をすると、50年間の積立期間で退職所得控除は2900万円になります。 収入が少ない20代は掛金5000円でも良いのでiDeCoをはじめ、退職所得控除にカウントされる期間を稼ぎます。むしろ収入が少ない間は所得控除における節税メリットが小さいのでNISAを優先します。 収入が増えてきたらiDeCoの掛金を増額していきます。仮に20歳から40歳までは月5000円、40歳からは60歳までは40000円、60歳から70歳までは10000円の積立をしたとしましょう。50年間の積立総額は1200万円です。そしてもし70歳までの間ずっと4%で運用できたとすると2900万円ほどの資産を築くことができます。それでも退職所得控除内ですから税金はかかりません。 退職所得控除のうち一部重複した期間を会社の退職金を受け取る際に使ったとしても、50年分の退職所得控除がゼロになることはないでしょう。また課税されたとしても、退職所得控除を超えた分を2分の1して分離課税ですから、やはりiDeCoの有利性は充分担保されているといえるのではないでしょうか? いずれにしても、確定拠出年金制度は、「税の繰り延べ」が特徴なので受取り時に課税されるのはあたり前のことであると早めに理解しておいた方が良いでしょう。ポイントはできるだけ長く加入して退職所得控除の枠を確保する、収入に合わせて最適な掛金を拠出することになるのではないかと考えます。今後も情報をしっかりキャッチして上手に活用していきましょう。
山中 伸枝(ファイナンシャルプランナー)