それほど大きな問題ではない? 「iDeCo改悪」によって影響を受ける人、逆にメリットがある人とは
2. 加入可能年齢の引き上げ
次にふたつめの加入可能年齢の引き上げについてです。現在公的年金に加入していることを条件として65歳までの加入が可能となっていますが今回の大綱では加入年齢を70歳未満に引き上げるとともに、「iDeCoの加入者・指図者だった人」あるいは「私的年金の資産をiDeCoに移換できる人で、老齢基礎年金・iDeCoの老齢年金を受給していない人」であれば、そのまま60歳以降もiDeCoに加入できるようになります。 最近は、70歳までの雇用を守ることが企業の努力義務とされているので、できるだけ長く働きたいという方も増えるでしょう。その場合は、70歳までiDeCoへ加入ができるようになります。掛金上限は会社員と同じく62000円が上限です。 また今回の大綱には、公的年金加入者であることについては言及されていませんから、60歳以降アルバイトのような形で働く方であってもiDeCoへの加入ができるようになります。自営業の方など60歳までに40年間国民年金を満額払ってきた方は、公的年金の加入が終了するためその後にiDeCoに加入することがかないませんでしたが、老齢年金を受給していなければiDeCoへの加入ができるようになります。 大綱を読む限り、iDeCoへの加入を優先する場合は、公的年金は必然的に繰下げが条件となりそうですが、60歳からでも月々62000円の積立が可能となれば4%の利回りだと10年で900万円以上の老後資金を作れることになります。 ここまでを総括すると、掛金上限が大幅に拡大したことにより、iDeCoでよりしっかりした資産形成をしたい方にとっては大いにメリットがある改正といえます。特に若いうちはなかなか資産形成にお金を回せなかったけれど、50歳からあるいは60歳から資産形成に取り組みたい方にとってもチャンスが拡大しました。 繰り返しになりますが、iDeCoの掛金は全額所得控除になります。所得税率は5%~45%の超過累進課税、住民税の所得割は原則一律10%です。収入が低い方であっても掛金の15%は税を軽減させることができるので、今回の改正は大いに歓迎したいところです。