ジュリア退団後の「マリーゴールド」で眩い輝き!“狂乱の貴婦人”たる本質をみせた桜井麻衣がなりふり構わず勝利にこだわるワケ
3勝のうち2勝はSTFによるもの。以前から使っている技だが、タッグ王座決定トーナメントを前に蝶野正洋から直接指導を受けた。 「ポイントは足のフックを深く入れること。そうして相手を動きにくくした上で顔面を固めていくんです」 STFはデビューしたアクトレスガールズ時代から使っている。実はジュリアが使う姿を見て真似し始めたのだそうだ。それから時が経ち、ジュリアが日本を去るタイミングで蝶野の教えを受けて、桜井はSTFをフィニッシュ技に昇華させた。そのSTFを武器に、ジュリアのいないマリーゴールドでトップを狙う。 ジュリアとのシングルマッチで“覚醒”したようにも見える桜井だが、常に自分のプロレスについて考え、自身に成長を課してきた。今の活躍は積み重ねの結果だろう。もしかすると“責任感”も今の彼女の強味ではないか。 マリーゴールド旗揚げ後は、後輩と新人が一気に増えた。桜井は、MIRAIとともに道場での練習を取り仕切る立場になっている。そういう役目を担うキャリアになったのだ。 旗揚げしたばかりの団体であり、スターダムからの移籍組だけでなくアクトレスガールズから来た選手たち、それ以外の団体の出身者も。技術にしても練習量の基準にしても個人差がある。たとえばスターダムなら「ここまでやらなくては一人前とは言えない」というラインが共有されている。だがマリーゴールドはそのラインを作っている最中だ。 9月16日の試合後には、MIRAIが「まだ怠けてるヤツいるだろ」と後輩たちにクギを刺した。桜井は「元スターダムとか元アクトレスガールズといった分け方は関係なくしていきたい」と語っている。 「自分だけよければいいわけではなくて、マリーゴールド全体を大きくしていきたい。そのためにはみんなが力をつけないと。前の団体をやめて、マリーゴールドにかけているので。どこにも負けない団体にしたいんです」 団体に対して責任感がある。周りの選手も含めてこのままでいいとは思っていない。その姿勢に説得力を持たせるためにも、今の桜井はなりふり構わず勝利を掴みにいくのだ。 取材・文●橋本宗洋