「遠くからできる支援」まとめ 被災病院に異例の早さで支援金 クラファン、ポイント寄付など【WBS】
能登半島地震の被災地で長引く避難生活を支えようと、現場では様々な支援の輪が広がっています。一方で、現地にいない私たち個人や企業にも、被災地を支援する手段は多くあります。被災地支援の最前線を取材しました。 【動画】被災者を「うどん」で支援 避難所で無料提供 つかの間笑顔
うどん支援で笑顔
強い雨が打ちつけた18日の被災地。 「激しい雨が降り続いていて、陥没した道路の土壌にも雨が浸透しているのがわかります」(金子水紀記者) 地震で傷んだ地盤が緩む危険性もあり、気象庁が土砂災害への警戒を呼びかけていました。避難生活も長引く中避難所では、温かいうどんの炊き出しが行われていました。 丸亀製麺は18日、七尾市の避難所にキッチンカーを派遣し、うどんの無料提供を始めました。持ち込んだ材料で麺を作り、熱湯の中に。サツマイモの天ぷらも揚げたてです。避難所を利用するおよそ100人の被災者に振る舞われました。被災者からは「家はまだ断水しているので、温かいものは作れないのでとても助かっている。地震後、初めてうどんを食べた」「少し日常に戻った感じ」との声が上がりました。 国や自治体と連携して行うこの被災地支援。これから1週間、七尾市内の避難所を回る予定で、他の被災地に行くことも検討しているといいます。 「温かいうどんは本当に温まると思う。非常に寒い時期でもあるので、うどんを食べて温かくなってほしい」(「トリドールHD」サステナビリティ推進部の大下浩平部長)
クラファンに1億5000万円の支援
同じ七尾市の海沿いにあるのが恵寿総合病院。400余りの病床を持つ市内最大規模の病院です。震度6強の揺れに襲われた1日も、院内には多くの患者や妊婦の姿がありました。大津波警報が出る中でも新たな命が誕生。この病院では90年にわたり、能登地域の医療を支え続けてきました。 しかし地震により建物に大きな亀裂や水漏れの被害が出ていて、修理もできず、手つかずの状況です。それでも患者は増える一方で、地震の発生後、医療に対するニーズは通常の2倍以上になりました。 どんなときでも地域に医療を提供し続けることを目指す恵寿総合病院。現在は外来の診察だけでなく、避難所での訪問診療も行っています。 「私自身も被災者の一人かもしれないが、われわれ医療従事者は働くことが復興支援につながるので頑張っている」(恵寿総合病院の浅井一希医師) スタッフが寝る間も惜しんで患者と向き合う状況を受け、全国から支援の申し出が相次いだといいますが、同病院の神野正隆理事長補佐によれば「すごくありがたかったが通常診療をしながら非常時の診療もして、さらに支援の受付窓口をつくるのはもういっぱいいっぱい。個々に対応することが、とてもできない」といいます。 支援の窓口を一本化するために始めたのがインターネットで支援金を募るクラウドファンディングです。当初目標としていた1000万円は、開始からわずか数時間という異例の早さで達成。現在は7000万円以上が集まっています。集まったお金は、設備の修繕などに充てます。 「クラウドファンディングに応援のメッセージを付けられる。あしたもまた頑張ろうという気になるので、本当に応援はありがたいし励みになる」(神野理事長補佐) 実際にこのクラウドファンディングにお金を出した杉山宗志さんは「個人的に駆けつけるのも状況がわからない中、被災地に対して迷惑。今すぐ目の前でできるクラウドファンディングはぜひやってみたいなと思った」と話します。 福島県に暮らす杉山さんは病院で働いていて、恵寿総合病院とも過去に関わりがあったため、応援の気持ちを込めて5000円を寄付しました。 「普通のサブスク登録ぐらいな感じで、サクサクッとできた」(杉山さん) 恵寿総合病院が利用したのがクラウドファンディングサイト「レディーフォー」です。地震発生の翌日に特設ページを立ち上げました。 「どういったものが載っているんですか」(角谷暁子キャスター) 「地震関連のプロジェクトが随時掲載されていて、トップに上がっているのはプロフェッショナルなNPOの緊急支援活動」(レディーフォーの廣安ゆきみさん) 現在、能登半島地震関連のプロジェクトが15件ほど進められていて、合わせて1億5000万円の寄付がおよそ1万人から集まっています。18日には支援の募集を検討している能登町商工会の担当者との打ち合わせが開かれていました。 「非常に多くの事業者が、店舗も損壊や設備がなくなった。寄付を募って返済の必要がない資金で事業の再建を目指すのが一つのやり方なのかなと」(「能登町商工会」の新尚樹さん) まだ募集が始まっていないものも含め、地震関連でレディーフォーを通じた支援を望む団体などは増えていて、およそ100件に上っています。 「クラウドファンディングというものがどういう位置づけになっているというふうに感じてらっしゃいますか」(角谷暁子キャスター) 「社会課題が細分化・多様化していく中で、公的な予算だけではフォローしきれない。具体的なニーズに応えながら、寄付集めをすることが可能になっている」((レディーフォーの廣安さん)