アジアで新たな通貨戦争のリスク、円安長期化なら高まる恐れ
パク氏は、「ドル高によってアジア通貨の価値が下がれば、現地の市場に投資する各ファンドは資金を引き揚げざるを得なくなるだろう」と指摘。「EM(新興国)市場全体が崩れ、米国債相場の上昇と株式が売られるリスクオフの動きを引き起こすことになるだろう」として、確率は低いものの、排除できないシナリオだと付け加えた。
ワイルドカード
波乱要因となるワイルドカードとしては、中国が人民元に対してどのような対応を取るかが重要になる。人民元が円につれて下落し、アジア域内の不安定化につながるリスクがある。中国の管理相場制の下にある人民元は、他通貨のアンカー役としてみられており、小さな動きでも非常に大きな影響を及ぼしかねない。
市場では、中国当局が低迷する経済を下支えるために、人民元の切り下げといった極端な措置を余儀なくされるのではとの観測が、ひっそりと高まっている。
ロンバー・オディエ(香港オフィス)のアジア太平洋地域担当の最高投資責任者(CIO)、ジョン・ウッズ氏は、「アジア全体を見て、これまでに進んだ異常なまでの円安を目の当たりにすると、特に中国と比較した相対的な競争力が気になり始める」と指摘。「それが今、アジアで私がかなり注目しているリスクだ」としている。
原題:Yen’s Fragility Raises Specter of a New Currency War in Asia(抜粋)
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Tania Chen, Ruth Carson