「ケアリーバー」の若者が直面する”18歳の壁” 一時は死を意識し自暴自棄に…養護施設で「本当の家族」と夢見つけ進学した女性も
現在、桜さんは1人暮らし。バイトで生活費と学費を稼ぎ、足りない分は奨学金と積立金から支払っている。生活に余裕はないが、いざというときに頼れる親族はいないため、卒業後に引っ越しなどで必要なお金を準備するために貯金を続けている。
学校生活は楽しい。けれど、友人の何気ないひと言に「やっぱり違うな」と感じることもある。「バイト代からスマホ代を払っているから大変」と言われたときには、心の中で「私は学費も家賃もスマホ代も全部自分で払うしかないんだけどな」と思った。自分の生い立ちを話すのは本当に心を許した友人だけだ。
三帰寮に帰ると、心が落ち着く。「本当は今すぐここに帰ってきたい」。9月、1カ月ぶりの〝帰省〟をしていた桜さんがふと漏らした。たった1人で社会に出た桜さんは、今と将来への不安に耐えながら、懸命に日々を過ごしている。就職しても進学しても、ケアリーバーが孤立し困窮に陥りやすい現状は変わらない。一人一人の実情に沿った切れ目のない支援が模索されている。