「寝だめ」できない、中高生は夜型で早朝の勉強は効率悪い…睡眠の「新常識」
「90分サイクルで起きると目覚めが良い」との情報についても柳沢氏は「ほぼ都市伝説」と断言する。人は睡眠中、眼球がキョロキョロ動いて夢を見る「レム睡眠」とそれ以外の「ノンレム睡眠」を平均90分サイクルで繰り返す。だが同じ人でも一晩に60~120分のばらつきが出る。柳沢氏は「人がいつすっきり目覚められるのかは、よくわかっていない」と明かす。
寝だめに関する誤解もある。経済協力開発機構(OECD)の2021年の調査によると、日本の平均睡眠時間は7時間22分。調査対象の33か国中で最も短く、米国の8時間51分と比べて1時間以上の差がある。「眠れない平日に備え休日に寝だめすればよい」とも考えがちだが、柳沢氏は「睡眠不足による『負債』を返すだけで睡眠を『貯金』することはできない」と話す。
寝酒も問題だ。飲酒で中枢神経が抑制されて眠くはなるが、アルコールは体内で代謝されるとアセトアルデヒドという物質に変換され、交感神経の働きを活発にするなどして快眠を妨げる。柳沢氏は「睡眠の質は最悪で、眠るために飲酒をするなら睡眠薬を処方してもらった方がはるかに良い」と助言する。