55歳で役職定年になり収入減でガッカリ。定年まで働いて嘱託社員になるか、いま転職するか、それぞれのメリット・デメリットは?
「役職定年制度」ってどんな制度で仕事と給与はどのようになるのか、転職した場合のメリットとして考えられること、デメリットとして考えられることについてまとめました。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
役職定年とは
役職定年とは、管理職である部長・課長などの役職に定年を設けて、既定の年齢に到達したらその役職を退くことをいい、社内の制度として運用することを役職定年制度といいます。役職定年の年齢は企業によって異なり、55歳以降で設定しているところが多いようです。役職からは退きますが、定年までは雇用は継続します。 この制度は、若手のポスト不足を解消して円滑な世代交代を進めようとした時代背景があります。ただし、最近は労働力不足や社員のモチベーション低下や長年培った専門知識やスキルをもったベテラン社員の流出などを懸念して、制度を廃止する企業も出てきているところです。「ジョブ型雇用」への移行が進んでいることも背景にあります。 一方で、運用を継続する企業や新たに導入する企業もあります。 人生100年時代といわれるなかで、役職定年を節目として、各人がこれからも続く長い人生を豊かに歩むために、これまでの働き方や考え方をいったんリセットし、新しい働き方、新しいセカンドキャリアについて考える機会になり、必要なスキル、知識、価値観など学び直しをするための後押しにつながるからです。
役職定年後の働き方と収入
役職定年後は組織内での役割が変わります。「後進への技術・技能の伝承」などの役割を担うケースが多いようですが、「通常業務の遂行」を行っている場合もあります。 少し古いですが、人事院が平成17年に調査した資料(「民間企業における役職定年制・役職任期制の実態」)によると、部長級だった方の場合は「おおむね同格の専門職」とする企業の割合は57.9%と過半数を占めており、役職定年前に比べ格下となるケースは37.5%にとどまっているという結果でした。 また、課長級だった方の場合は「おおむね同格の専門職」とする企業の割合が52.4%にのぼるが、役職定年前に比べ格下となるケースも43.2%という結果でした。 なお、同格であったとしても給与においては、役割(役職)に応じて支給されていた「役職級」に相当する手当分の支給がなくなるのは一般的です。結果的には年間で100万円~300万円ダウンする場合もあります。いずれにしても役職定年で給与が減り、定年後も継続して嘱託社員等になってさらに給与が減ることは避けられない事実です。 このように考えると、役職定年を機にこのまま会社に残るか新しい環境で再スタートをするか悩ましい問題が出てきます。