ネガティブ感情は、成長を促す原動力!カウンセラーが教える、「いつでもポジティブな人」のほうが危険な理由
◆人の感情には必ず両面がある 生きていれば、楽しいことや嬉しいことだけでなく、悲しいこと、つらいことがあって当然です。人の心にはポジティブとネガティブ、両方の感情が存在しているからです。 周りから見たらいつも明るく、悩みがなさそうなポジティブな人でも、実は人に話せない悲しい過去を抱えていることもありますし、ネガティブ思考になりやすい人でも1日の中でちょっとした嬉しい感情が生まれたりするのではないでしょうか。 人の気持ちにはこうした両面があるはずなのに、「私にはストレスがないんです」「怒ることなんてありません」と本気なのか、演技なのか自分でもネガティブ感情に気づかないままでいる人に出会うことも多くあります。 しかし、このように、「いつでもポジティブな人」の方が実は危険です。 例えば、周りから「優秀な人」と期待されていた新入社員が、最初はバリバリ仕事をこなして成果を上げたのに、半年後には心がポキッと折れて休みがちになって出社できなくなる。これは本当によくあるケースですが、こうした状況に陥りやすい人こそ「いつもポジティブな人」の典型例です。 その原因として、「ネガティブ感情に気づけないほど心のセンサーが鈍感になっている」、もしくは「自分の気持ちにふたをして向き合えていなかった」のいずれが考えられます。 「今日も1日良いことばかりだった」ではなく、「悪いこともあったけど、1つだけ良いことがあった」と現実を受け止められる人の方が、幸福を感じやすいものなのです。 「ネガティブな気持ちになるのは、人間としてごく自然なこと」とまずは心に留めておきましょう。
◆適度なストレスがパフォーマンスを上げる あなたは「ストレスなんてゼロになればいいのに!」と望んでいるかもしれません。もちろん過重労働やストレス過多な生活は心身に悪影響をおよぼしますが、「適度なストレス」は人にとって良い効果をもたらします。それを表すのが「ヤーキーズ・ドットソンの法則」という生理心理学の基本とされる法則です。 これは心理学者のR・ヤーキーズ博士と・D・ドットソン博士によるパフォーマンスとストレスの関係を示した理論で、「高すぎず・低すぎない」適度なストレスがある方が、最適なパフォーマンスにつながると言われています。 そもそもストレスは物理学用語で、モノに刺激が加わったときにあらゆる反応を意味します。これを「ストレス反応」と呼びます。 例えば、柔らかいボールがあるとして、ボールを凹ませる力がストレッサー(刺激)、その刺激に対する反応が「ストレス反応」です。 ストレスが低すぎる状態とは、この刺激がまったくないということを指します。例えるなら、誰にも会わない、仕事もしない、何の予定もないといった状態です。 これでは変化に反応しない=柔軟性を育めないので、パフォーマンスを発揮できないどころか、日々の生活が無気力・無反応になり、人として生きる気力が失われていきます。結果として、さらに深いネガティブ感情へと沈み込んでいくということを知っていただければと思います。 ※本稿は、『ネガティブな自分のゆるし方』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
大野萌子