炭化した巻物の解読からナスカの地上絵発見、AIで加速した科学的発見の数々
生命の構成要素を理解する
AIモデルは、研究者が最小単位で生命を理解する手助けもしている。つまり、生命の構成要素であるタンパク質を形成する分子の鎖だ。 タンパク質はわずか20個ほどのアミノ酸で構成されているが、これらはほぼ無限の方法で組み合わせることができ、3次元空間で非常に複雑なパターンに折り畳まれる。 何十年もの間、これらの3D構造の解読は、細かい実験とX線結晶構造解析と呼ばれる技術を必要とする、困難で時間のかかる作業だった。 しかし、18年に画期的なAIベースのツールが登場した。英ロンドンのAI開発企業グーグル・ディープマインドのデミス・ハサビス氏とジョン・ジャンパー氏が開発した「アルファフォールド・タンパク質構造データベース」の最新版は、アミノ酸配列から既知のタンパク質2億種類のほぼすべての構造を予測する。 既知のすべてのアミノ酸配列と実験的に決定されたタンパク質構造に基づいて訓練されたこのデータベースは、「グーグル検索」として機能する。ボタンを押すだけでタンパク質の予測モデルにアクセスできるため、基礎生物学や医学を含むその他の関連分野の進歩が加速する。このツールは世界中で200万人以上の研究者に活用されている。 ハサビス氏とジャンパー氏は今年のノーベル化学賞を受賞した。