千葉県内で今年29人が労災事故死 さびた屋根を踏み抜いて落下も… 増加傾向、年末年始前「安全徹底を」 千葉労働局
労働災害が起きやすくなる年末年始の慌ただしい時期を前に、安全に業務を行ってもらおうと、千葉労働局は千葉市若葉区に建設中の市清掃工場の工事現場を視察した。県内で今年の1月~10月末に発生した労働災害による死亡事故は29件で、前年の同時期と比べて8件増えている。同局は安全対策を確認し、重大事故の起きない現場作りを求めた。 同局によると、今年の県内の労災事故で死亡した29人の業種別内訳は、建設業が9人(前年同期と同数)と最も多く、次に製造業の8人(前年同期比4人増)となっている。建設業は、足場を組むなどして高所で作業することが多いため、落下を防止する措置を怠ったことなどにより転落する死亡事故が後を絶たない。 銚子労働基準監督署によると、4月、屋根の改修工事中に高さ約7メートルの場所で作業していた60代男性が屋根のさびた部分を踏み抜いて落ち、死亡した。安全ネットの用意や安全ベルトの装着をさせなかったとして、現場責任者らが書類送検されている。 県内の労働災害による死亡事故は長期的に見ると減少傾向にあるものの、一昨年が23件、昨年が25件と近年は増加傾向にある。同局の担当者は「(近年は)死亡事故が増えていることを知ってもらいたい。知るだけでも注意につながる」と呼びかける。
外国人向け注意絵文字も
死亡事故の多発を受けて同局は、増加する外国人労働者らにも注意事項を伝えられるように、ピクトグラム(絵文字)を作成し、11月から同局のホームページで公開している。これまでに発生した労災を踏まえ「ハーネス(落下防止用の安全器具)、ヘルメットを着用する」「安全な通路の通行徹底」といった注意事項を絵文字化した。同局の担当者は「無料でダウンロードでき、種類も順次増やしている。現場で活用してほしい」と呼びかける。 現場視察した岩野剛同局長(59)は「年末年始は労働災害が増える時期。この時期を無災害で乗り切り、災害を一つでもなくしていきたい。県民に安全意識を持ってもらうために、努力を続けていく」と述べた。