「ますます特典航空券がとれなくなった」JALルール変更から10ヵ月…マイル「修行」に起こった変化
「週末ごとに1日何往復も……」わざわざ修行してもメリットある日系のJGC/SFC制度
飛行機に必要以上に乗る修行は、一般にはやはり理解しがたいものがあるだろう。例えば、羽田=札幌や那覇を1日に何往復もしたり、昨年までのJGC修行では鹿児島の奄美群島を飛んで搭乗回数を稼ぐのが「アイランドホッピング修行」とも呼ばれたりした。伊丹=但馬はJGC修行の路線として有名で、年間搭乗実績のリミットである年末になると1日2往復の便は、特に週末ともなると、伊丹から但馬に着くと到着口を出てそのまま保安検査場へ向かう人が大半だった。 そこまでしてJGC、SFCを得るメリットはあるかというと、飛行機に日ごろより乗る人であればやはり「ある」と言える。特に、急な欠航での空席待ちの順位が一般より上だったり、満席に近い便で預けた手荷物を早く受け取って出口へ向かえたりするのは便利だ。JALやANAのラウンジでは、ビールを含むアルコール類が無料で飲み放題である。 ◆「専用ラウンジの設置」外資系エアラインで「差別化」の動き……日系どうなる? 最近、外資系航空会社で、空港のラウンジを「分ける」動きが見られる。例えば、シンガポール航空では、SFCを含む「スターアライアンスゴールド会員でエコノミークラス利用」だと『クリスフライヤーゴールドラウンジ』、「ビジネスクラス利用」だと『シルバークリスラウンジ』となる。どちらかというとヌードルバーなど飲食その他が充実するシルバークリスラウンジのほうが上だ。 カタール航空は、タイ・バンコクのスワンナプーム国際空港にある自社ラウンジの利用を「ビジネスクラス以上の利用に限定」し、拠点のハマド国際空港でも搭乗クラスごとに利用ラウンジが異なる。ANAは、ラウンジ利用条件こそ以前と変わらないものの、足元が広い座席などの事前指定が無料なのは「ダイヤモンド」「プラチナ」のステイタスに限定し、SFCを含むその他は有料で販売する。 そもそも上級会員としてのサービスは、国内線だとJALのファーストクラスやANAのプレミアムクラス、国際線ではビジネスクラス以上を利用すれば、ステイタスがなくても享受できる。 また、搭乗時に上級クラスを普段から利用すれば、貯まるマイル数も搭乗実績も普通席やエコノミークラスと違う。出張が多いビジネスパーソンや普段から上級クラスを利用する人たちの多くは、修行などせずとも「気づいたら上級会員になっていた」パターンだ。 海外では、JGCやSFCといった会員制度は存在せず、ステイタスの維持には毎年、搭乗実績を重ねる必要がある。これが本来のマイル会員制度だろう。JALはJGC入会条件のハードルを上げることで、昨今の修行ブームに一区切りつけた形となった。ANAはどうするのか、今後の動きが気になるところだ。 取材・文・写真:シカマアキ
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