<夢の舞台へ!’23センバツ光>支える人々/下 店長のカメラ 選手追う /山口
光高校のグラウンドから10分ほど歩いたところに、スポーツ専門店「光スポーツ」がある。店内に一歩足を踏み入れると、光のユニホームや帽子が目に飛び込んでくる。 店長は光野球部の卒業生で、県高校野球審判員の芥川昌弘さん(61)だ。1993、94年、光が夏の甲子園に連続出場した時はスタンドで応援したといい、「甲子園で光のユニホームをまた見られるなんて、想像するだけで泣きそうになる」と喜ぶ。選手や保護者らに野球や応援の道具を提供している他、「カメラマン」としてもチームを支える。 審判を務めない時には、カメラを携えて球場へ行き、光の試合を写真に収める。10年ほど前から光などの高校の父母会に頼まれ、撮影するうちに選手たちの表情を撮ることに熱中した。スポーツカメラマンが使う超望遠レンズも購入。特にレギュラーに入れなかった選手を撮ることに力を入れる。 芥川さんも高校時代、レギュラーに入れず代打専門だった。先輩から「下手な守備は諦めろ。ひたすらバットを振っていろ」と言われ、3年間素振りを重ねた。大会では、打席に立てないまま1回戦負けすることも。芥川さんの息子も3年間、一度も背番号をもらえなかった。だからこそ、試合に出られなかった選手の思いも大切にしたい。 「活躍した選手はみんなが撮る。それだけではなく、3年間試合に出られずスタンドで応援をしていた子、球拾いばかりしていた子とかも撮ってあげたい。自分も息子も、レギュラーの外で野球をしていたから分かるんです」とほほ笑む。 撮りためた写真は保護者にプレゼントしたり、販売したりする。出場する選手の名前が載る得点ボードの写真を編集し、補欠選手の名前を入れた年は特に好評だったという。 センバツの試合にも応援に行く予定で「一度も試合に出ていなかった選手が代打で打席立つ場面や、ベンチで選手が励まし合う場面などを撮りたい」と意気込んでいる。【福原英信】 〔山口版〕