大腸がんの原因となる「潰瘍性大腸炎」をご存じですか? 初期症状や予防法も医師が解説!
潰瘍性大腸炎の予防法 食事で気をつけることはある?
編集部: 潰瘍性大腸炎の進行を予防するには、どうしたらいいのでしょうか? 伴野先生: 早期発見・早期治療が最も重要です。「下痢が長く続く」「粘血便(ジャム状の便)がある」といった症状のある人は我慢したり、「時間ができたら受診しよう」と様子を見たりせず、早めに受診をしてください。また、診断後は医師の指示に従って薬をきちんと服用することや、食事内容も意識することが大事です。 編集部: 食事面での注意点を教えてください。 伴野先生: 症状が強く出ている活動期は、食物繊維などの消化されないものが少ない、いわゆる「低残渣食(ていざんさしょく)」や「低脂肪食」を意識しましょう。また、卵や魚、鶏肉などに含まれるタンパク質も摂っていただきたいです。 編集部: 食事制限がつらい印象があります……。 伴野先生: そう思われるかもしれませんが、上述した項目は症状のある活動期の注意点です。潰瘍性大腸炎は薬をしっかり内服すれば、症状のない寛解期の方が長いですね。暴飲暴食はもちろんNGですが、健康な人と同じ生活を送ることが可能です。食べたいものをいつも制限するのはストレスになり得るので、食事は過度に制限せず、楽しんでもらいたいと思います。 編集部: 食事以外での注意点はありますか? 伴野先生: 症状の悪化に気づいたら、2週間以内に受診してください。放置しておくと炎症がどんどん広がってしまいます。そして、ストレスが誘因となり症状が悪化することがあるので、疲れを感じたときは可能な限り無理せず休んでほしいです。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 伴野先生: 潰瘍性大腸炎は、早期に発見して適切に治療すれば、重篤になることは少なくなりました。現在は薬の種類も増えているので、「病気だから」と諦めずにQOLを高めていくような治療をかかりつけの先生と一緒に考えていきましょう。また、妊娠中でも服用を続けられる薬もあるため、それぞれのライフステージに合わせた治療が可能です。思っていること、気になっていることは気軽に相談していただけたら、医師側も個別の希望に沿った治療を提供できると思います。