中国軍、大規模汚職が27年までの近代化目標妨げも=米国防総省報告
Idrees Ali Phil Stewart [ワシントン 18日 ロイター] - 米国防総省は18日に発表した中国の軍事動向に関する年次報告書で、人民解放軍内部の大規模な汚職問題が、2027年までに軍の近代化を実現するという目標の妨げになる可能性があるとの見解を示した。 人民解放軍は昨年以降、大規模な汚職摘発を進めている。今年11月には同軍最高指導機関の中国軍事委員会の苗華委員が「重大な規律違反」の疑いで調査を受けていることが分かった。 年次報告書は、昨年7―12月に中国で軍の最高幹部クラスや防衛産業の重役の少なくとも15人程度が職務を解任されたと説明。「人民解放軍は昨年、新たな汚職関連捜査と高官解任の波にさらされており、これは27年の近代化達成目標に向けた道のりに混乱をもたらすかもしれない」と指摘した。 米政府は、習近平国家主席が軍に対して27年までに台湾に侵攻できる態勢を整えるように命じたとの見方を示している。 ラトナー国防次官補(インド太平洋安全保障担当)は報告書発表後にシンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)で、これら15人の解任は「氷山の一角」であった公算が大きいと言及。人民解放軍内部で汚職が広がっている状況を示唆するとともに、一連の取り締まりによって軍組織の下部に至るまでリスク回避や機能まひの現象が起きる期間が生まれそうだと語った。 米国防総省高官の1人は、汚職の取り締まりは中国の防衛産業を含めた軍事プロジェクトの進行を遅らせてもおかしくないと指摘した。