0歳時はわずか5日間 究極の超遅生まれ馬プリーミーが今週中央デビュー!/新人記者のトレセン日記
【新人記者・栗栖歩乃花のトレセン日記】 馬に誕生日はありますが、誕生日に年を重ねるのではなく、毎年1月を迎えると一斉に年齢が変わります。田中博厩舎にはプリーミー(牡5)が在厩していますが、この馬が生まれたのは2019年12月27日。なんと、0歳でいることができた期間は5日しかない5歳馬なのです。同世代の競走馬に比べて1年近く遅い誕生日なのですが、そんななかでも川崎では7戦7勝と負け知らず。中央でも通用する実力の持ち主なのでしょうか。 田中博調教師は「まだ課題がある子」と話してくれました。まずはゲート。「(ゲートに)目隠しでしか入らなくて、試験も目隠しで合格しました」。どういうことなのか担当の高木助手に聞いてみると「おとなしいけど頑固というか強いところがあって、地方の7戦も覆面で入れていたみたいです」と経緯を教えてくれました。追い切りとゲート練習を並行しなければならないので「3週間くらい手間取りました」とも。 そのほかにも「人馬の関係性」を課題に挙げた田中博師。師は「本来はこれではダメなんです」と言います。これについては高木助手も「今は馬のほうが(立場が)上ですね」と苦笑い。「おとなしい子だからできているんですが、(馬は)『何となく聞いてやるか』という感じです。本来は人間の〝やってほしい〟に対して『はい!』と聞いてくれるはずなんですけど、今は(馬に人が)負けているときもありますね。『こんな感じでどう?』っていう感じです」(高木助手)。関係性はすぐにつくれるものではなく、今後長く向き合い続けないといけない課題のひとつだそうです。 この話を聞くと不安要素が大きい気がしますが、他の馬にはないものも持っていました。「今まで担当した馬の中で一番よく食べます」と高木助手。牧場時代を含めて25~26年くらい働いているそうですが、その中でもダントツだそう。「普通の馬は3~4キロくらいしか食べないんですけど、彼は8キロくらい食べますからね(笑い)」。チモシー(乾草)でもそんなに食べるんですから「カイバは秒殺です」と食欲旺盛な子なようです。実際に馬体も大きく「うち(厩舎)にはお尻の大きな馬がたくさんいますが、この子はレモンポップに負けないくらいのお尻」と迫力ある馬体をセールスポイントとして教えてくれました。 追い切りの様子についても「オープンのベジャールや先週3勝クラスを勝ったウェイワードアクトと併せても互角の動きをして見劣りしなかった」と同助手。「調教通りに走れれば面白いはず」と笑顔で話してくれました。 不安要素があるのは事実ですが、田中博師も「能力を感じる」と言うように、能力の高さ川崎での結果が証明してくれています。本格的な成長はまだこれからになりそうですが、まずは中央初戦でどんな走りを見せてくれるのでしょうか。5歳馬としては超がつく遅生まれですが、馬名の由来は「早生まれ」。お目見えの土曜東京8R・3歳上2勝クラス(ダート1600メートル)が楽しみです。
栗栖 歩乃花