吉田拓郎に“俺に歌わせろ”――泉谷しげるが「イメージの詩」をカバー 48年ぶりの古巣からリリースのワケ
なぜ48年ぶりに帰ってきた?
泉谷は当時を「1年目は楽しかったが、2年目からは段々、居心地の悪さを感じちゃったんだよね」と苦笑いしながら振り返る。自由を求めて設立メンバーに加わったものの、現実は違っていたということかもしれない。 「要は、アーティストになりたかったんだろうね。つまりアーティストというのは職人だから、あれも作りたい、これも作りたいとなる。そう思っているうちに、いつの間にか『こんなこと(設立メンバーとしての会社の運営)をしていていいのか』って思うようになってしまった」。 それから48年の月日が経った今、泉谷が再びフォーライフに戻ってくることになった。 キッカケは「去年のある日、都内のライブ会場で後藤さん(豊=フォーライフ・レコード副社長、現フォーライフミュージックエンタテイメント社長)と偶然出会ったことだった」という。その際に(後藤社長から)「何か、手伝えないか」「一緒にやれることはないか」と言われた。今年に入って何度か会って話していくうちに「段々と後藤さんの男気に共鳴してな。で、改めて一緒にやりたいって思うようになった」。
この会社を盛り上げてやりたい
そして企画されたのが今回のセルフカバーアルバムだった。 「(後藤社長から)フォーライフが設立50周年と聞いた時……。そりゃ、あの時は確かに俺も設立に関わってきたけど、そんなことよりも、やっぱり、この会社を盛り上げてやりたいじゃないか」 設立メンバーだったのにも関わらず、僅か2年で“離脱”していった泉谷が、48年経ち、今度は真っ先に戻ってきたことになる。それだけに、アルバム収録曲にも泉谷なりのこだわりが見え隠れする。 「(フォーライフをやめてからも)全国をライブで回っているが、当時の曲を現在のボーカルで聴きたいっていうファンが多いんだよ。だったら、そういった曲を改めて歌うのもいいだろうって思ったわけだ。最近はセルフカバーというのも需要があるみたいだしな。要は、これまで俺が全国のライブハウスを回って、ファンやスタッフから聞きとった中から6曲を厳選し、76歳の俺が歌い直そうというわけだ。ま、俺にとってはライブから生まれた楽曲だってことさ」 振り返れば、フォーライフの第一弾として出したのも、ライブ・アルバム「ライブ!! 泉谷~王様たちの夜~」だった。ライブで収録した音源を、そのまま落とし込んだだけのものだったが、これも泉谷のライブに対する拘りなのかもしれない。