“厄介者”ほこり、キャンプ用の着火剤に 愛媛・今治の繊維染色会社が開発
全国有数のタオル産地、愛媛県今治市の繊維染色会社「西染工」が、タオルを染めて乾燥させる際に発生する綿ぼこりをキャンプ用の着火剤として売り出している。綿ぼこりは火事の原因になるためすぐに処理する必要がある現場の“厄介者”だが、特徴を逆手に取った。開発した商品事業部長福岡友也さん(55)は「エコな商品でレジャーを楽しんで」と話す。(共同通信=山口裕太郎) 開発のきっかけは、新型コロナウイルス禍で得意先からの染色依頼が減少したこと。持続可能な自社製品を開発することで収益の安定性の確保や多角化を図る必要があると感じた福岡さんは、趣味のキャンプ中に廃棄される綿ぼこりが、引火のしやすさを生かせばたき火の火種に使えるのでは、と思いついた。 試してみると、火の広がり具合はもちろん、10グラムで4~5分も持続することも分かり、商品化を決めた。生産工程で1日あたり約240リットルたまる綿ぼこりの約7割を使用。本業の染色技術をアピールするため、透明のケースに赤と白、青と黄などのカラフルな組み合わせで綿ぼこりを詰めた。
商品を使いながら四国の誇らしい自然を堪能してほしいとの思いから、商品名は「今治のホコリ」。1個40グラムで660円。2022年の販売開始時に設立したアウトドアブランド「THE MAGIC HOUR」のサイトや全国のキャンプ場で購入できる。 「キャンプの専門誌やテレビで紹介されて注文数が増え、会社やブランドの認知度も上がっている」と手応えを語る福岡さん。今春には、洗いやすく清潔な状態で繰り返し使えるタオル素材の寝袋を新たに販売予定だ。