衆院選公示「総選挙中は株式市場が上昇する」は本当? 過去20年の実績を検証してみた
■衆院選アノマリー投資はTOPIXより日経平均に優位性あり 衆議院議員の解散日に投資して投票時前の最終営業日に売却した場合、TOPIXは6勝2敗で日経平均が7勝1敗です。 また最大の負け幅はTOPIX▲2.68%に対し、日経平均▲1.46%であり、日経平均は負けのダメージも少なくなっています。 そして勝ちの最大上昇幅もTOPIX+8.51%に比べ日経平均+9.14%であり、こちらも日経平均が勝っています。 衆院選の期間は株式市場の上昇が見られるというアノマリーは、少なくとも2000年以降は有効に機能していると考えられます。また株式市場全体の指数となるTOPIXよりも、銘柄毎にウェイトが異なる日経平均がより投資パフォーマンスが高い状態です。 ■日経平均に投資するなら投資信託、ETF、先物、CFD 日経平均という株式は存在しません。日経平均は株価指数であり、株式市場全体の値動きを示す指標です。 ただし日経平均に連動する金融商品は数多くあり、それら商品への投資で、衆院選アノマリーを利用して利益を上げられる可能性があります。具体的な選択肢としては以下となります。 日経平均連動型の投資信託 日経平均連動型のETF 日経平均先物 日経平均を対象とするCFD この中で日経平均連動型のETFは株式市場で売買可能であり、価格にリアルタイム性があり、また各手数料も安く投資できます(条件次第では手数料無料で取引できるネット証券もあります)。 また、日経平均先物やCFDはリアルタイムかつレバレッジを効かせた取引ができますが、レバレッジ型のETFや投資信託もあります。ただしレバレッジ型の商品に投資する際は、リスク管理に充分な注意を払う必要があります。 ■アノマリー投資には感情を入れないこと、選挙投票日前の最終営業日に決済する 2000年以降の8回の衆院選の検証ですが、衆院選解散後に投資して選挙投票日前の最終営業日に売却する、という売買は勝率が高く、また負けにくいと分かります。 ただし注意したいのは、無敗の投資はありえない、ということです。勝率の高い衆院選アノマリー投資でも2003年の負けが発生しています。アノマリー投資はゴールが決まっていることが多く、衆院選アノマリーも"投票日前の最終営業日"というゴールがあります。 ゴール日には損益に関係なく決済することが重要です。特に負けている時にポジションを持ち越すと、選挙翌日に選挙結果を織り込む株式市場の大きな値動きが生じ、大敗に繋がるリスクがあります。勝率の高い取引でのマイナス決済は、メンタル的に大きなストレスです。しかし、機械的な決済が投資資金を守ることに繋がります。 アノマリー投資はシステムトレードに近いため、エントリーと決済はルール通りに行うことが重要です。勝率の高い衆院選アノマリー投資ですが、負けるリスクを理解した上で、チャレンジする際は投票日前の最終営業日の決済を厳守しましょう。 ■ 石井僚一 いしいりょういち 金融・投資ライター。大手証券グループ投資会社の勤務を経て、個人投資家・ライターに。株式市場や為替市場に関連する記事の執筆を得意としている。資産運用記事やインタビュー記事も執筆中。第一種証券外務員資格保有。 X(旧Twitter):@writerIshii note:https://note.com/richiwrite/n/n1f6457703168
石井僚一