乳がんステージ4の50代新米記者が語る仕事論「いい意味であきらめが肝心」
がん患者は仕事とどう付き合うべきか
━━自身のキャリアを振り返って、がん患者は働くこととどう付き合っていくのがよいと思うか そうですね、難しいですね。がんになると、割と価値観をはっきりさせざるを得ない。色々と制限せざるを得ないので、自分にとって大事なものは何か、整理するきっかけにはなると思うんですね。 私の場合だと、がんになってなければ、出版にいて、売れる本を自分の意に沿わない内容でも、とにかく作ってもっと偉くなりたいとか、もしかしたら思ってたかもしれないですよね。そのへんは自分で整理をしてそぎ落としました。 いい意味であきらめがつきます。沢山のことはできないんだなってことは身にしみるので。がんになったのが44歳のときですけど、もしかして、ずっと健康なままだったら、いつまでも、私はまだ子供が産めるかもしれないとか、偉くなりたいとかまだまだいろんな道が開けていて。もっとがんじがらめになっていたかもしれないですね。自分の可能性をあきらめきれなかったかもしれない。でも、がんになったことでリスタートというか、いろんなことが整理できました。しかも、私の場合本当にありがたいことに、病気であるが故の仕事があるので、よかったです。そうじゃなかったら、中途半端なままで仕事をしていたかもしれないなと思います。 ━━仕事もそうですし、生き方とか、何に優先順位をおくのか整理することが大事なんですね? それはやったほうがいいかもしれないですね。病気の前と同じようにって、出来る人もいると思うんですけど、やっぱり働き方を考え直したりとか、会社の中での立場を変わらざるを得ないこともあると思うので。例えば、副作用でキーボードを打てないっていう人もいるんですよね。そうすると仕事を変えないといけないとかもあると思うので、そこはもうあきらめざるを得ないというか。マイナスだけでなく、なるべくプラスの面を自分で見るようにできればいいですね。